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アグレッシブさのために休日を

飲食業に関わって5年、専門学校時代も含めると7年になるけれど、週に2日店休日がある店に勤めるのは初めての経験だった。

公務員やサラリーマンの方々は「それが普通でしょ?」と思うかもしれない。けれど飲食で2連休が毎週あるというのは本当に珍しいケースなのです。
社員目線ではありがたいことだけれど、会社目線で考えるとそもそも飲食業は利益が出づらい仕事なので営業日数を減らすのは売り上げをダイレクトに減らすということなので、リスクがかなり大きい。

自分でも変だなと思うけれど、今のレストランで働くまでは休むことが怖いと感じていたことすらあった。

技術職特有の、休まないで仕事に勤しむことを美学だったりアイデンティティとして語る人があまりにも多いなと感じてたからです。
例に漏れず、やはりありえないくらいの連勤をしてる人の方がそうじゃ無い人よりも上司からの評価が目に見えて良かったのです。ある種の見せしめですね。
その流れに背いて上の人間にとやかく言われるくらいならば、休まないで働いて会社が決めた日に休む方が楽だったからそうしていた。

そんな時に、今の店の求人に出会う。

休むということを諦めるべくして諦めていた僕にとっては考えられない条件だったので、会社の概要を見た時に完全週休2日の生活をした自分にどんな変化が起こるのかを想像してワクワクした。

結果として、アグレッシブさが上がりました。

今までの1日しか休みがない生活では1日がかりの作業や長く時間を浪費する予定を避けていた節がある。理由は次の仕事の準備をする時間がなくなってしまうからだった。

「休みなんだから休めよ」と言われてしまうかもしれませんが、いつからかその時間無しでは休めない体になってしまったのです。
僕は脳に常に膿のようなものがあって、それは普段からの悩みだったり不安だったりストレスだったりするのですが、準備を全くしないで仕事をした際それがチラついて気が気じゃなかった。臆病な人間にとって備えとは健康に生きるための栄養なのです。

夜の特定の時間だけふらっと行けるライブハウスや居酒屋、その中で出会った友人は自分のライフスタイルと性格を加味した上で本当に合っていたんだなぁと今書いてて気づきました。この場を借りて普段からお世話になってる友人、お店、ライブハウスにありがとうと伝えたいです。

話を戻します。

1日休みが多いだけで「もう1日休めるから今日は〇〇ができる」という考え方ができるようになった。
これはかなり大きい変化で、その結果なんと先日1日かけて街をサイクリングするという今までの僕では考えられなかった体験をしたのです。引っ越してきたばかりの東京を自転車でぐるぐると見て回る新鮮さはやはり楽しかったし、ペダルを思い切りこいでる間だけ少し脳の膿のようなものが減るという発散方法も見つけることができた。

25歳は若いとも若くないとも言いづらい絶妙な時期です。ぼちぼち良い大人にならないといけないとも感じますが、そのためにも自分の可能性を発見することだったり、いつの日か自己をプロデュースするときのために体験談をストックしておくのも大切なこと。仕事をずっとしてるだけでは気づけない世界線をこの歳で発見できたのは自分の中ですごく大きなことです。

その発見をしたときに自分の中でモヤモヤしていたことがなんとなく言語化できました。
ずっと考えていたことで、まだあまり上手くまとまっていないので拙い文章になってしまうかもしれませんが熱のまま書いてみたいと思いましたのでお見苦しいかもしれませんがもう少しだけ書かせてください。

さて、それは何かというと。飲食業は基礎こそあれど優先しなきゃいけないのはその現場での仕事だなぁということです。

もっと厳密に言うと各現場での正解がそれぞれあって、自分がこれまで築いてきたものよりもをそちらを尊重しなければいけないということです。

これまで飲食店で働く中で、前の店で学んだことでも別の店では正解じゃなかったということを僕はたくさん経験してきました。

それは調理技法、接客の仕方、発注の個数、仕事の優先順位、様々な要因で言えます。
どの現場でもそうだと思いますが、そういった現場の正解とコックの手癖の差異は仕事をしてるうちに上司からの注意を受けてその店の正解に矯正されていくものなんですが。

その注意をされるとき、毎度ウッと思ってしまうんですね。これまではそれが正解だと思ってたから。

自分がこれまで学んできたものにペケを付けられるとこれまでの時間はなんだったんだろうか?と一瞬思うけれど、全く同じ店なんて一つも無いので仕方の無いことだとすぐに思考を軌道修正する。その繰り返し、心は結構疲れます。
現場毎に分人することになんの躊躇いもなくなってきたときふと気づいたのです。「毎度その場に合わせてるだけで、結局どこに行き着くんだろうか?」と。

現場毎に正解が用意されてて合わせるのが上手くなっていく。それでは、仕事ができるようになるのではなくて、その現場を回すのが上手くなるだけではないだろうか。
自分はこれまで料理ではなくて現場作業をしていただけだったのではないだろうか。

僕は将来自分の店を持ちたい。だったらやはり自分だけのアイデンティティをしっかりと確立したいと思うのです。現場に合わせるだけじゃなくてちゃんとしっかり自分の武器を研ぐ時間が欲しい。でも、現場作業に明け暮れて休日すら仕事のことばかりを考える毎日ではその武器を探す時間も研ぐ時間も無い。

そこで今回の経験の話になるわけです。

自分のアイデンティティを探すために、成長のために、根源であるアグレッシブさを確保する。好きな本も映画も音楽もとことん触れる。そうして脳と体の余裕を作る。その余裕を使って料理も料理以外の武器も沢山磨く。

そのために休む。
休むことを怖がらない。

さて、そんなこんなでまた明日から現場作業です。来週の休日は何をしよう。

休みを悪としない現場で働けることを幸せに思います。

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