福祉を学ぶ高校生たち
高校生地域ふくし実行委員会
地域福祉の担い手育成を目指し、高校生たちが学校を超えて福祉の学びを深めています。岡山県内の16校の高校が会員となっています。
事務局は持ち回りとなっていて、2019~2020年度は倉敷翔南高校が担当。倉敷翔南高校の姫路校長先生から「高校生地域ふくし実行委員会」について、話を聞いてきました。
活動内容
■介護技術コンテスト
課題とした与えられた介護シチュエーションに対して、高校生たち(3人1チーム)でその介護技術の高さを競うコンテストです。
介護技術コンテストは全国的な取り組みで、岡山でも実施されています。(ちなみに、大人の大会もあります。)
▼2018年実施の中国ブロック大会岡山県予選会の模様(KSBニュース)
2019年度介護技術コンテスト岡山県大会の結果
最優秀賞 倉敷中央高校
優秀賞 備前緑陽高校
2019年度に行われた第8回大会では、倉敷中央高校が全国2位の優秀校に選ばれたそうです!
また、介護技術コンテストでは、現代の介護用具についてのプレゼンテーションもあり、地域の人たちの介護や福祉を学ぶ場にもなっています。
■生徒体験発表会・講演会
2019年度は、県内8校から81名の高校生が参加。
生徒体験発表会では、高校生が介護実習やボランティア活動などの実践の中で学んだことをアウトプットします。
ある高校生の女の子の発表では、実習で出会ったAさん(施設利用者)の死との遭遇から、「死を目の前にした本人の気持ちに対して、自分がどう対峙するべきか」と問いを立て、自ら考えを巡らせ、学びをすすめる様を経験として伝えています。
生徒体験発表会のアウトプットについて、姫路先生はこう話します。
16歳のやわらかい心で感じたこと、その1回きりの体験を、幾度も振り返って言語化することで、経験になる。それを聞いている側も追体験できて、学びの循環があると思います。
続いての講演会では、倉敷市社会福祉協議会の方からの話題提供があった後、「互助の視点で高校生にできること」をテーマに、福祉を学ぶ高校生たちが学校を超えて交流し、地域の人たちも一緒にグループワークを行います。
ワークを通して、高校生たちは、公的機関以外で福祉に関わる人たち(民生委員など)を知ることができます。福祉連携において、繋ぎ先の人を具体的に知っていることは重要で、高校生にとって良いつながりになったようです。
福祉を学ぶ高校生の姿を、地域の人に知ってほしい。
福祉を学ぶ高校生たちの姿を、地域の人たちに知ってほしい、伝えたい。
と姫路先生は言います。
たしかに、商業高校や工業高校は、その存在や何をやっているかを一般的にイメージすることはわりとできると思うのですが、福祉学科の場合、「高校で福祉を学んでいる」という状況自体の(一般的な)認知度は低いかもしれません。
児島地区も少子高齢化が進んでいる。生徒たちも児島地区の子が半数いる。生徒たちと児島の人がお互いにつながることで、新しい化学反応があるのではないか。
事務局である倉敷翔南高校の先生たちはそう考えました。
これまで、高校生地域ふくし実行委員会の活動は地域の人に公開することはしていませんでしたが、2019年度は地域の人たちにもオープンにして、介護技術コンテストには30名、生徒体験発表会・講演会には14名の地域の方が参加しました。
学校と地域、福祉のこれから
(これまではお呼びしていなかったので)来てくれたこと自体が嬉しかった。
と姫路先生はおっしゃいます。
もともと、倉敷翔南高校と児島地区とのつながりは強く、生徒と地域の人たちで年に6回、花植えの共同活動を行っています。
そこに参加している地域の人が、介護技術コンテストのチラシを公民館などの施設に自ら持って行って広報の協力もしてくれたそうです。
介護技術コンテスト後、とある花植えの活動のとき、地域の人と先生とで、こんなやりとりがあったそうです。
(この前の)よかったわぁ。子どもたちがあんなに勉強していることに感動した。実は、うちの娘も・・・
高校生の学びが地域の関係性を変えていく。
高校生地域ふくし実行委員会の事務局は、来年から他の学校に変わりますが、持ち回り先の各地域で、その学びが地域の人に開かれていることを目指します。
これからの共生社会を生きるうえでも福祉の視点は重要。それは福祉を学ぶ高校生だけでなく、多くの人が知っておいてよいことだと先生は言います。
例えば、カフェのアルバイトの面接で、福祉を学ぶ彼らは「自分は車いすのお客様にも適切に対応することができます。」と言えるのです。
福祉を学ぶことは、心を耕す勉強だと感じる。それを知ってもらいたい。
高校生地域ふくし実行委員会の挑戦は続きます!
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