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採用ミスマッチを防ぐには?

せっかく時間をかけて採用しても、いざ入社してから「イメージと違った」「合わないと思った」などと早々に人が退職してしまう、いわゆる『採用ミスマッチ』

企業にとっても、働く人にとっても、何一ついいことはない……と分かっていても、こうした話は後を絶ちません。

なかには、初めから“ミスマッチありき”(=すぐ辞めるだろう、という前提)で相応の人数を採用する企業もありますが、働く一人ひとり向き合い方としては、誠実とは言えないでしょう。SNSの発達した今、そんな企業の姿勢はどんどん「バレて」、求職者に敬遠されるようにもなりました。

人手不足による採用難も深刻になる今、企業はこのミスマッチの問題に、正面から向き合うべきなのでは、と考えています。

期待値を「下げる」ことが大事。

なぜ採用のミスマッチは起こるのか?

この現象は、「入り口の期待値が高くて、実際は思っていたより低い状態」が生み出します。「聞いてたより給料が低かった」とかですね。「給料が高かった!」はミスマッチにはならない。しれっと「ありがとう」と思うだけです(笑)。

「ミスマッチ」という言葉には、ポジティブ側の要素は一切入りません。そう考えると、採用でミスマッチをなくす方法は、実は1つしかないんです。

最初の期待値を、ここより“下”がない、という場所にきちんと設定すること

これができれば、ミスマッチは起きません。そして、一番下のラインに期待値を置くには、自社にある「ネガティブな要素」を正直に、事前に伝えておく必要があります

恋愛と一緒で、相手にとって都合の悪いことを隠しても、あとからバレてふられる。長く付き合いを続けたいなら、自分のだらしない部分は、初めから「ここがだらしないんだけど」と言わないとダメなんです。

誇れることは、自信を持って伝える

同時に、「良い部分」や「魅力」をちゃんと伝えることも大切です。ダメな部分しか見せなければ、働きたいと思う人はいません。

「働いてると、こんなおもしろいことがある」「ここに関しては他に負けてないと思う」「こんな魅力的な人と仕事ができる」のように、自社が誇れることは、自信をもって伝えるべきです。

(どんな企業にも魅力は必ずあります。そこが自分ではよく分からない、という方は、次回の記事で具体的な「魅力の探し方」をご紹介しますので、そちらも読んでみてください。)

自社の良し悪しを両面できちんと伝えると、まずは“ポジティブな要素”が「しっかり刺さった」人が反応してくれます。その中から、開示された“ネガティブな要素”についても「自分には重要度が高くない項目だからOK」「正直に言ってくれたから覚悟ができる」という人だけが来てくれるようになるのです。

逆に、自分にとって重要度が高い項目が“ネガティブな要素”に入っていたら、その人は来なくなる。これがすごく大事な点で、ミスマッチを引き起こすくらいなら、そもそも入社してもらわない方がお互いのためになります。

採用は「期待値調整」に尽きる

ここまで書いたことは、実は「RJP」(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)といって、アメリカの産業心理学者であるジョン・ワナウス氏が提唱している考え方でもあります。

https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=26

要するに、働いたら結局ぜんぶ分かるので、良いことも悪いことも包み隠さずオープンにしましょう、ということですね。弊社いろあわせが、以前からやっている「ぶっちゃけ」も、ほぼ同じ考えで、自分をさらけ出す場所づくりを目的にしています。

以前に上の記事でも書きましたが、採用活動で一番大切なことは「期待値の調整」に尽きる、と考えています。面接で魅力を引き出すことも、魅力を伝えるために採用コンセプトをつくることも大事ですが、圧倒的に重要なのは期待値のすり合わせです。

この調整をきちんとやらないと、人は入社してから失望するし、短期間で辞めてしまうわけです。「ミスマッチ」を防ぐために、自社の“ポジティブな要素”と“ネガティブな要素”を、改めて見直してみていただければと思います。

北川雄士/Yuji Kitagawa

滋賀県彦根市生まれ。株式会社いろあわせ代表取締役。
広告代理店、ITベンチャー企業の人事部門責任者の経験を経て、2014年にフリーの人事として独立。これまでに数千人の面接を経て来た。2015年末にUターン。ひと・もの・まちを“掛け合わせ”、それぞれが持ついろや魅力を大切にしたいとの想いで、株式会社いろあわせを設立。現在『しがと、しごと。』をはじめ、行政や地元企業と共に地域発の採用の仕組みや場づくり・まちづくりを積極的に実践中。(TwitterFacebook


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“滋賀ではたらく魅力を再発見する”『しがと、しごと。』プロジェクトの一環で運営される、ローカルで採用活動に取り組む人事担当者のコミュニティです。

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(編集:佐々木将史

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