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この夏が特別な日になる。


当たり前に暑い8月2日。東京五輪の画面から蝉の声が聞こえる。自宅の外のそれとも重なって、時差のない祭典を近くした。オリンピックスタジアム、国立競技場の観客が入っているかのように見えるデザインが、あらかじめ無観客を思って作られたんじゃないかと勘繰るほどに、トリックアートを見ているかのように映る。答えは知らない。わからないことは誰にでもある。神戸と東京の蝉はどこか違うのだろうか?知らないとはそんなものだ。

陰謀論を信じる方ではないが、宗教観、政治観と同様、他人を巻き込むよりは、自分の志向や眼力を信じている。ただ、今頭の中にあるコロナ禍の知識も、緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も、繰り返していては危機感など薄れ始め「あぁ非常ベルが鳴ってるね」と誰かの悪戯のようにしか思えなくなっている。新たな楔(クサビ)と独自の施策がないと、人はまた欲する普段通りの動きを求め始めるものだ。やはり、実際そうなっている。


8月1日の日曜日。ご予約でもなければ普段は開けない日曜に、僕は未練がましくマチに出た。今日から8月一杯は酒が出せない。

まん延防止等重点措置(今回適用)

 (特措法第 31 条の 6 第 1,2 項、第 24 条第 9 項)


[外出自粛]○感染拡大地域との不要不急の往来の自粛 等

[飲食店] (神戸市、阪神南・阪神北・東播磨、姫路市) 

○時短要請 ・ 5 時~20時 ○酒類提供 ・禁止
(共通)○感染対策徹底

・「新型コロナ対策適正店認証」取得の推奨

・カラオケ設備の利用自粛の要請


そんなわけで、8月の初日がラストになった夜(厳密には夕刻から夜にかけて)は、来訪者が賑やかにしてくれた。楽しいカウンターの会話にテンション上げ気味に、実は寂しい自分を覆い隠すように話しまくった。閉店。いつもより時間をかけて清掃をし、さっきまでいた人々と同じように座る。眺めた奥行きのある店内も、いつもと変わらない。違うことは、明日にはここで来訪者を迎え入れられないこと。涙は出ないが心でひとしきり泣いた。

協力金をもらって「休んだほうが楽だ」という店もある。やってるフリして張り紙を見せる店もある。協力金を申請して看板の灯りを落とし、いわゆる闇営業をする店もある。協力金は申請しないで、もう我慢できないと通常再開する店もある。新たな施策が見えない以上、それぞれの判断を止められないわけで、「行儀の良い店」には「行儀の良いお客」が集うし、そうではない店にはクラスターでも出ない限りやったもん勝ちのマチにもなる。

他を羨むとキリがない。怒りを探すと自分の心が荒み蝕まれてゆく。

だから今、僕のできることを見つけた。

8月を特別にする。

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