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なぜ店を続けるのか?

12月、いきなり寒くなる。2日の朝方、スペインと戦う日本代表。パブリックビューイングでもしなければ、この街も静かなものだ。灯油ファンヒーターをこの冬初めて点す。気持ちも少し暖かくなった。


あるお客様が、飲食店を始めて1年半だという若い夫婦を連れて来てくれた。30歳前後でしっかりした言葉を持っている。いや、そういう上から目線の表現が大人をダメにする。スポーツ選手が世界に通用する選手が多くなったように、僕らと比べたり、近頃の若い人はと決めつけてはいけない。これを、キメツケの刃と言う…知らんけど(流行語大賞にならなくて良し)

どういう想いで続けて来られたのか?そんなことを聞きたかったらしい。

「30年近く、リタイアとか東京進出とか考えたことはなかったのですか?」

若い男性が聞いた。

色々伝えたいことはあったが、帰り際だったこともあり、これだと思うことを捻り出す。そこからは、少しワインも入っていたので饒舌になった。

「神戸の震災の年に店を始めて20年経った頃、あの年に生まれたお子さんも20歳になり、親子でいらっしゃる方が増えたように感じました。この話を人に伝えたところ、ウチはまだ小学生だからあと10年は続けてもらわないととか、子供が生まれたらいつか連れて来ますねなど、こちらの都合も考えずに好き勝手言ってくれる。ならば私もそれまでは、その時まではと足跡を重ねてしまう。そんな繰り返しがあるから、続けるのかも知れませんね。

さぁ親子一緒にあの店に行こうとなった日に、思い出にあるその場所が無くなってたりすると寂しいでしょう。私にも経験があります。再訪者は大抵、素敵な記憶を確かめに来るものです。そこに無いと虚しい。店主はどうされてるのか?お元気か?と届かない想いが募る。だからって私が意地になって店を続けるのは違うし、年齢や体調も経てソクセキを止める時がいつか来るから、続けられるうちはそんなモチベーションに甘えようと思ってます」



だって、そうでしょう。

店を守ることは、そこに来てくれた人の思い出を守ることですから。

サポートいただけましたら、想いの継続とその足跡へのチカラとなり、今後の活動支援としてしっかりと活用させていただきます‼️