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あとがき(note版)

 ずーーーっと前から、「本を書いてみたいなぁ」という欲が自分の中にはありました。でも、「なんとなく」であり、出したいと思う時期も「いつか」であり、書きたい内容も「自分がその時書きたいものでいい」。「ただ、自分の中から湧き上がる何かを、書いていたい」という曖昧な衝動でした。

 大学生の途中までは、そんな衝動をノートに書き殴ることで消化していました。表面上は「良い子」でも、内側には先生や社会への強い反発心を秘めていた私は、ヒリヒリするほど痛い「若気の至り」を、ノートにぶつけていました。言ってみれば、非常に独りよがりでしたが、それで満足でした。

 しかし、大学受験で小論文の勉強を徹底的にして、大学で論文を書く際、「理論的な書き方」「文章の分かりやすさ」をみっちりと仕込まれ、衝動的で独りよがりなだけではない、「他人に読まれることを意識した文章」というものを覚えていきました。

 それが、大学生の間に広まった「ブログ」で、小さく花開きました。「書きたいことを書ける」「でも、それを人に読んでもらえる」という、私にとってはちょうど良い自己表現のはけ口が見つかり、手を変え品を変え、時には休止したりしながらも、私は10年以上ブログを続けてきました(毎日更新はしてません。笑)。

 そんな調子なものですから、私は「本を書きたい」という衝動をブログで消化してしまい、それで満足していました。


 転機になったのは、私のそんなブログを見ず知らずの方が面白がってくれ、「私の提供しているサービスの、レポートを書いてほしい」と頼まれたこと。初めて、「自分の書いているものが、面白くてお金をいただけるレベルのものになった」と気づき、「ちょっと物書きで稼いでみたいかも?」と欲が出てきました。

 でも、いざ人から頼まれて、紹介文などの文章を書いてみると、「自分が書きたくて書く」ものとまるで勝手が違うことに気づき、それが苦痛になってしまい、一時期は「やっぱりやめます」となりました。

 しかし、今度は「自分が書きたいものを書いて、それを本(=お金)にしたら?」と言われました。ちょうど、産後鬱が再発の心配もないほどに抜けて、その経緯を自分もまとめて文章にしたいと思っており、人からも「それは産後鬱で今苦しんでる人の役に立つんじゃない?」と言われたところでした。

 自分の半生のようなものを書くわけで、ブログに収まるようなものではない。どうせ書くなら、お金をいただくにふさわしいレベルの物を書きたい―自分の中のチャレンジャー魂のようなものに火が付き、この本(文章)を執筆するに至ったわけです。


 しかし、実際に原稿執筆に手を付けるまでと、書き終わっていざ出版作業に入るところからが大変でした…


 原稿執筆のためにお尻に火をつけてくれたのは、「それ書かないと、前に進めないよ」という人(というか、宇宙というか、自分の潜在意識というか)からの言葉でした。確かに、逃げて別のことばっかり書いていると、なんか空回りしているような感じがしました。そこに向き合うことで、私は多くの学びを得ました。

 書き終わった後も、「どうやって私はこれを人目に触れさせたいか」などを巡ってひと悶着あり、これまた多くの学びを得ました。

 結局、私は「本を書いてお金を得るために書いた」んじゃなくて、「これらの学びを得るために書いた」んじゃないだろうかと、今は思っています…(遠い目)

 いざ自分の衝動の赴くままに書いてみて、見直してみると、そのこっぱずかしいこと、こっぱずかしいこと。「産後鬱の人に届けば」という大義名分で書き始めたのに、結局「いかに自分は生まれ育ち、悩み、生きてきたか」というただの自分語りになってしまった。今、穴があったら入りたい気分です。ほんとに。しかも、文体も、いつもみんなに「面白い」と言ってもらっているブログと全く違うものになってしまいました。どうしてこうなった、自分。


 結局、私は書くことと、それを人に公開することのその過程で学びたいことがあり、こういうことをしたんだろうなと今は思っています。そのため、当初は1冊300円くらいにして、電子書籍化して公開しようと思っていましたが、今回のような「ほとんどを無料で公開。気に入っていただけたら、最後の章だけ300円で購入してください。投げ銭歓迎」というスタイルでの公開になりました。

 これは、私にとってのゴールが「文章を書いてお金をいただく」ことではなかったと気付いたためです。でも、いくら「お金が目的ではない」と言っても、お金はエネルギー。いただければ嬉しいし、それは確実に次の文章を書くための物理的・精神的エネルギーとなります(具体的に言うと、本代とか、何か面白い体験をするための費用とか、おいしいご飯代とかになります)。

 そのため、「もし私の文章が気に入って、『今後も読みたい、しえの物書きを応援したい』と思っていただけたら、購入や投げ銭をお願いいたします」としました。


 あまりにいつものブログと違う文章になってしまい、正直、「自分語りで役に立たない」「面白くないのでは?」と自分では思えたので、何度も引っ込めたくなりました。しかし、これを「役に立つ」「面白い」「お金を払う価値がある」と判断するのは、私ではない。読者の皆さま。なので、「お金を払うか」「いくら払うか」のほとんどは、読者の皆さまに決定権をゆだねたい次第です(応援いただいた方へのお礼として、最後の章だけは購入していただいた方だけ読めるようにしました)。

 私は正直、自分の書いたものを知らない人の目に触れさせることがまだ怖いです(その理由はブログにあります。noteにもその内まとめたいです)。なので、「不特定多数の方からお金をいただいて、文章を公開する」ことが怖くてたまりません。投げ銭スタイルは、そんな私にはちょうどよいシステムでした(笑)

 自分の衝動だけで書いたようなものが、もし、誰かに面白がっていただけたなら、この上ない喜びです。それが、さらにもし、誰かの役に立つようなことになれば、無上の喜びになるでしょう。でも、「あとがき」のこの最後まで読んでいただけた、ただそれだけで、私は十分、涙が出るほど嬉しいです。

 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


 最後になりましたが、ここに至るまで励まし、突っ込みをいただきました皆さま、本当にありがとうございました。いつもブログを読んでくださる皆さま、「読んでもらってる」それが私の活力です。文章中に出てくる過去の私と関わりのあった皆さま。掲載許可を得ていないので、かなりあいまいな書き方になりましたが、偶然これを目にする機会がありましたら、お許しください。特に大学の研究室はちょっと辛辣に書いてしまいましたが、あれはあれで楽しかったものです(笑)。未だに「明日ゼミなのに、パワポできてない!?」とか夢でうなされますが。

 家族には、感謝してもしきれません。本当に本当に、ありがとう。

2018年6月某日 しえ


2021年5月21日
(3年で色々心境の変化があった上、まだ読んでくださる方がいるので)全文無料公開にしました。

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