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自然派コスメができるまで(12)「いまここで限界を超えろ」

コロナ・サバイバルからニューノーマル時代へ、新時代の価値観を反映した製品づくりを目指し、未来にふさわしいと思える製品開発に邁進しております、Shield72°プロダクツチーム、開発担当の白木海月-shirokikurage-と申します。
わたしたちが手掛ける製品の第1弾は自然派コスメ、ナチュラルスキンケア。昨年10月にデビューしたオーガニックアロマ スキンケアシリーズ Shield72°の開発ストーリーを綴っています。

これまでにマップ化してきたプレノートを整理して、製品コンセプトを以下4点に絞り企画書を作成しました。
・天然由来成分にこだわったスキンケアシリーズを作りたい。
・ローズマリーをふんだんに配合したい。
・香りはオーガニック精油を使いたい。
・値段はできるだけ安くしたい。

原料には丁寧に向き合い自分たちも毎日使いたいと思えるようなものを選定したい。けれど毎日使う消耗品ならば、やはり自分たちも手が届く、この値段なら買えると思える価格設定にしたい。
もちろんメーカー努力として広告費は乗せずに価格を考える、新しい時代の、新しい価値観を反映するロジスティクス・システムを構築する、そのチャレンジを、あきらめないで続けていこう。

当然のことながら企画書やコンセプトだけでは製品化などできません。
コンセプトへの共感をベースに協働してくれる工場を探さなければなりません。専門業者へのマッチング依頼、人脈ありそうな方に紹介のおねがい、HP特集記事の収集、化粧品業界セミナー参加、さらには大きな展示会にも数回足を運び、ひたすら名刺交換し、ひたすらアポを取り、面談を繰り返しました。

検索ワードをリストにし、自分たちの希望とマッチングする言葉を考え続け、こんな言い回しだったらどうだろう、こういうセンテンスなら思考の建てつけが似ている会社かもしれないと試行錯誤して、ネット検索に数日を費やしました。

そして少しでも可能性のありそうな会社にアポを取り、日本国中を飛び回り、人に出会い、話をして、エネルギー交流をくりかえす。
出会いを求めてニッポン縦断、マッチングの旅の始まりです。

はたして、わたしたちの4つの希望を満たしてくれる工場と巡り合い、試作をくりかえし、使用感について「お座布団の準備」会議に明け暮れ、これだといえる製品を発注できるまでに約18か月!かかりました。
運命のお相手ともいえる工場と巡り合ってからの10か月を覗けば、8か月はマッチングの旅に奔走していたわけです。

マッチングの旅を続けるなかで学んだことは数多くありました。
マッチングの旅がなければ、学べなかったことです。
スポコン漫画にありがちな、へっぽこチームが試合や競技をとおして、本番中に限界を超えるというアレの毎日。
「いまここで限界を超えろ」
黒の暴牛騎士団、ヤミ団長の言葉が頭の中でこだまします。
ただ強烈マッチプレイ体験をとおして、自分たちに足りないものや課題が明確になったというのもまた事実です。限界をこえる力を磨いてくれたのは、面談をとおしてエネルギー交流してくれた数多の人々。
出会いの数をこなしていくことで、少しづつ、わたしたちも研鑽され、自分らしさというか、Shield72°らしさを備えることができたように思えます。

「天然由来成分にこだわった製品」
それひとつをとっても、人、あるいは工場によって千差万別のとらえ方があり、専門家相手に四苦八苦しながら、こちらの意図を説明するのはかなりの苦行でした。
さらに製品ひとつ生み出すとなれば、実務的な専門知識も必要です。リードタイム、容器との相性、経済ロット。物流は?ロジスティクス・システムは?契約条件は?等々、数え上げるときりがありません。

そうこうして、わたしたちの希望にようやく応えて下さる工場と巡り合うのですが、そういうのってもう、なんというか、奇跡の瞬間…、としか言いようのない感じで、多分、なにかが、確実に積み重なった結果なんだろうという感触はあるのですが、エビデンスは用意できません。

4つの希望条件をもとに面談をくりかえす8か月のあいだは
「これはできるがあれはできない」
「うちの規定に沿うもの(原料)で考え直してくれるならやれます」
「広告費のせないって、広告打たないってことですか…(出直してこいと声なき声)」
「新しい時代の価値観に?沿った商品?…ですか、うーん(空気中に充満するハテナマークで息苦しくなり両者そろってリングアウト)」などなど、神経がすりへり爛れ痺れるような毎日のなかで、こうなったらもう、4つのうちなにかを妥協するしかないのだろうか、と葛藤することもありました。

しかしある日突然、そんな苦行の日々がウソのように、こちらの意図をするりと理解してくださり、あっけらかんとすべての希望に沿ったものを「できますよ」って、「それ、通常運転です」風に返答され、こちらとしては今までの苦行は何だったの?と、キツネにつままれたような心持ちで帰路につきました。しかもその工場は各種オーガニック認証取得実績のある、とても優秀な企業で、規模にしてもわたしたちのチームに比べるとかなりの大手さんです。けっこう早い時期にコンタクトは取っていたものの、どこかで相手にされないかもしれないとあきらめていた節も正直あり、面談のアポ取りが後手に回っていたのです。

契約に関する諸手続きが完了して、そこから先は、ものごと動きだすのがともかくはやかった。
工場の製造過程を複数回見学させてもらい、主役のローズマリーについてもさまざまな可能性を模索しつつ「お座布団の準備」会議をくりかえし、提案し、提案され、またボールを預け、受け取ってはまた投げ返し、順調にラリーは続いてゆきました。

意識が同じ方向を向いている、あるいは思考の建てつけが似ていると、なんでもするすると動きだすのがはやいもので、チームとしてはつくづくと感激し、しみじみと感謝し、幾度となく感極まったりもして。

どんな仕事だって人と人が協働しなければ創り上げることはできません。さらに言うと丁寧に向き合えば丁寧なレスポンスが返ってくる。合理的に迅速に処理すれば、また同じように返ってくる、そのキャッチボールは、ほんとうに心地よいものだし、仕事ってこうじゃなくちゃ面白くない、って思います。

化粧水と乳液の主役ともいえるローズマリー葉水(基剤)ですが、

広島県近影 無農薬栽培ローズマリー

広島県で大切に育てられた良質な無農薬栽培のローズマリーを、収穫からすぐに工場で蒸留し製品化しています。

保湿のための植物エキスはローズマリー葉エキスを中心に、白黒それぞれの特性を際立たせられるよう配合を考えました。エキスを抽出するための溶媒は、すべて天然由来成分のみを使用しています。

しっとりホワイト スキンローション(化粧水)
ローズマリー葉エキス
ラベンダー花エキス
カミツレ花エキス
ハイビスカス花エキス
ヤマザクラ樹皮エキ

白の化粧水 5つの植物エキス(保湿)



さっぱりブラック スキンローション(化粧水)
ローズマリー葉エキス
セージ葉エキス
タチジャコウソウ花/葉エキス
クマイザサ葉エキス
ハトムギ種子エキス

黒の化粧水 5つの植物エキス(保湿)



しっとりホワイト リッチエマルジョン(乳液)
ローズマリー葉エキス
エーデルワイス花/葉エキス
ロドソルスマリヌスエキス
セイヨウナシ果実
シラカンバ樹皮エキス

白の乳液 5つの植物エキス(保湿)



さっぱりブラック リッチエマルジョン(乳液)
ローズマリー葉エキス
サッカロミセス/ウメエキス発酵液
ガゴメエキス
ヒキオコシ葉/茎エキス
ホオノキ樹皮エキス

黒の乳液 5つの植物エキス(保湿)



さらに化粧水、乳液ともに、保水力の高いシロキクラゲ多糖体を配合、

古代から美容食としても名高いシロキクラゲ

そしてお肌を整えるシリカを配合し、保湿力を高めました。
お肌のことをさらに考え、パラベン、シリコーン、合成香料、合成着色料、合成ポリマー、石油系界面活性剤、鉱物油、動物性原料、動物実験をしている原料、フェノキシエタノール、紫外線吸収剤などは一切使用していません。

ローズマリーから生まれたナチュラルスキンケア製品の完成です。
キャリーオーバーといって表示義務のない溶媒成分も含めすべて天然由来成分の原料を選択しました。
こうなると調香に長考をかさねた(しつこい)アロマブレンドが相乗効果で生きてくる。自然のままの、しっとりやさしい香りの白のアロマブレンド、さっぱり爽やかな黒のアロマブレンドが、こころにも心地好く響き、スキンケアタイムが楽しみになる(なってくれたら嬉しい)。


手づくり化粧水を長年愛用してきたアロマニアどもが、自分たちも毎日使える、心がよろこぶ化粧品が欲しいという思いから始まった「自然派コスメができるまで」ものがたり、最後までお読みくださりありがとうございました。このシリーズは(12)をもっておしまいとなります。


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