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Ryo29_№13

🇫🇷TEMPURA
AUTOPORTRAITS DE TOKYO

フランスで年4回発行される日本文化を紹介する雑誌“TEMPURA”で連載中のインタビュー記事
“AUTOPORTRAITS DE TOKYO”=”東京に住む人たちのセルフポートレート”を日本語訳したものをnoteに記録しています。

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TEMPURA_№13 / 2023.4

Ryo 29
Actor

Text : Mathieu Rocher (Interview : Ayaka Shida)
Photo : Ayaka Shida

僕は奈良の田舎で生まれました。
そこはジブリ映画の“トトロ”の世界のように田んぼや自然に囲まれた場所です。

中学生のとき、映画のメイキング映像を見ていて
一番かっこよく見えたシーンは、カットがかかり、俳優が瞬時に役を離れて自分に戻ってモニターを確認する瞬間でした。
だから僕は俳優を目指すために大学で演技コースを選びました。

22歳で俳優になるために東京に引っ越しました。
でも、去年28歳のとき、5年以上お世話になっていた事務所を退職しました。
その理由は、コロナの影響で事業方針が変わったからです。
今は人生で初めて何もない状態を経験しているので、これまでできなかったことに挑戦してみようと思い、いろいろとやっています!
サウナが好きなので、友達と一緒にサウナイベントを始めたり、YouTubeにも挑戦しました。

事務所に所属していたときは、常に周りの期待に応えようとしていて
とても不安で眠れないこともありました。
事務所を辞めてからは、今日のことだけを考えられるので、とてもリラックスできている気がします。
でも、最近また考えが変わってきたと感じています。

きっかけはサウナイベントでした。
それは期間限定のものだったので、イベントが終わると、友達はそれぞれ元の場所(本業や家族の元)に戻っていくんです。
でも、僕には戻る場所がなかったんですよね。事務所をすでに辞めていたから。
そのとき、事務所を辞めて以来初めて、自分が本当にやりたいことを真剣に考えました。そして、まだ俳優でいたいと思っていることに気づきました。

一般的に言えば、今の状態は幸せとは言えないと思います。笑
アルバイト生活で、親孝行もできていないし、もうすぐ30歳で独身、友達は結婚しているのに、です。
でも、僕は今の自分が幸せな生活を送っていると感じています。
「明日はここに行って誰かに会おう」とワクワクして夜眠る。そんな日々が幸せです。

東京はあまり好きではありません。
俳優の仕事をするために必要だから住んでいるだけです。
自然が好きです。役作りのために一度新宿御苑に行ったことがあるのですが、それ以来新宿御苑が大好きです。よく散歩に行きますよ。
自然の中で絵を描こうと思ってノートを持ち歩いていたこともありましたが、重くてやめました。

奈良に住んでいた大学生の頃、
友達が住んでいる東京を訪れた時「わぁ!東京には何でもある!」と言ったら、
友達が「東京は何でもあるけど、何もない場所だよ」と言われました。
そのときは彼の言っている意味が分かりませんでしたが、今東京に住んでいて、本当にその通りだなと理解しました。
東京は目的がなければ何もできない場所です。
目標を立てれば何でもできるけど、僕は魅力を感じません。
子供の頃は、目的を決めずに集まるだけで楽しかったじゃないですか。
東京ではそれができない気がします。そのことを目標にすればできるかもしれませんが、何となく窮屈に感じます。
それから、すごく狭い。
ごちゃごちゃしているし「せっかく都心に来たのだから…」という考えに支配され、小さな目標を立てて過ごしてしまいます。これが東京です。

今のところ、将来がどうなるか明確には言えません。
理由は、今想像できるような未来にはしたくないからです。
「数年前にはこんな風になるとは思わなかったな」と言えるような未来を望んでいます。




ここから編集後記🐈‍⬛
インタビューに至った経緯や私個人の意見を書いてます。
編集後記と言いながら、ほとんど私の日記みたいになってて公開するのがなんとなく恥ずかしいから
最新号・公開した方がいいなと思うもの以外は最低金額で有料設定にしてます🙃

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