花火を見ていた人達。

人が花火を見ている時、花火もまた人を見ているのだ。

打ち上げ花火の火の粉が脳天に直撃した時、そう思った。「お前ごときが見てんじゃねぇよ。汚ぇハナタレ坊主が!!」そう言われた気がした。あれは、普通に危険だったと思う。

大人になるとどうして花火に感動するのか。誰かが、「大人は目の前の花火じゃなくて、いつか誰かと見た花火を思い出しているから感動する」と言っていた。

僕は、その反対である。大人になると、過去を思い出すより、あるはずだった未来を思い描く時間の方が長くなる。こんなはずじゃなかった。あの子と見るはずだった。あの子はどこにいるのか。あの子も僕を思い描いているのか。あの子の背丈じゃこの人混みでは花火が見えないかもしれないから、少し空いたところを探していたのだろうか。

あの日、君と見た花火を、二秒と少しの一瞬の永遠を、僕は覚えています。

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