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山田亮太『誕生祭』

第50回小熊秀雄賞を受賞した『オバマ・グーグル』より5年。
山田亮太、待望の新詩集!


生まれてきてくれてどうもありがとう。きみたちは私たちよりももっと好きなように、でたらめに生きていい。(「ピーポー」)



「Two systems」

どうしても行かなきゃいけないならどこへ行くか教えて
海だろうが山だろうがどこへでも見つけにいくからわかりやすい場所にいて
いくつかのシステムがひとつのからだに同居している
どんな風にそれが動いているのか知りたいし
それを守るためになんだってする
生れなかったこどもたちのために描いた絵や
丁寧に漢字だけを取り除いた文
食品と薬品の安全性について調べられるだけ調べて
知識はこうやってまた増える
からだの中の地図のシステムは外国へ行っても使えるよ
なんだってできるし
やめたくなったらやめたらいい
違法な行いや誤解を招く服装を見抜けなかったから罰せられたんだ
知らぬ間に約束を破った一〇〇人以上が罰せられた
むかし住んでいた家に戻ってのんびり暮らしてもいい
ふたりか三人の友だちといっしょにちょっとしたものをつくろう
ここから先の一〇年で力を失って移動と通信の手段を失って別の国に行く
確からしい考えを見知らぬ人と分け合って別の未来をつくる準備はできた
よく食べてよく飲んで息をしてできるだけ長く生き延びるんだ
たとえ住む家がなくなってもこのシステムを守るよ
どうしても行かなきゃいけないならその前に教えて
これまでの一〇年に行った場所を全部思い出すから


ページを繰るごとに、心に刺さる言葉があって、それをなんらかの形にしたい気持ちになって、思考し、無粋な気持ちになってやめてをくりかえしています。

混乱の絶えない今の時代において、この一冊を手にできることを、心から喜んでおります。

ぜひお手にとってご覧いただきたい詩集が完成しました。



そして、ただいま置いていただける書店さまを募集中です。
発売は6月上旬以降となります。
ぜひご検討ください。どうぞよろしくお願いいたします!


著者 山田亮太
A5判変形・仮フランス装
88ページ
2200円(税込)
発行 2021年5月27日
発売 6月上旬
ISBN 978-4-87944-446-2
装画 LILY SHU《膜》(2017)
組版・装幀 須山悠里


【山田亮太プロフィール】

1982年北海道生。詩集に『ジャイアントフィールド』『オバマ・グーグル』(ともに思潮社)。2017年、『オバマ・グーグル』で第50回小熊秀雄賞受賞。2006年よりユニット「TOLTA」で活動する。TOLTAでの主な作品に「ポジティブな呪いのつみき」(東京都現代美術館「あそびのじかん」展)、『新しい手洗いのために』(素粒社)など。



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