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七月堂ZINE「AM 4:07」創刊のお知らせ

七月堂はこのたび、「詩」「エッセイ」「書店」をテーマにしたZINE、「AM 4:07」を創刊いたします。

読み方は、「えーえむよじななふん」で、創刊号の初売りは、5/19(日)に開催の文学フリマ東京38になる予定で準備を進めています。


すこし長くなりますが、発行人を務める後藤が創刊にいたる経緯などを話してまいります。




内容紹介


【連載】
詩|

 西尾勝彦

エッセイ|
 12回
 Pippo(近現代詩紹介)
 西尾勝彦
 池上規公子(葉ね文庫)
 後藤聖子(七月堂)

 4回
 城下康明(ひとやすみ書店)

写真|カバー・挿入写真・ポストカード
 寺岡圭介(紙片) 

【創刊号ゲスト】
エッセイ|

 朝吹真理子
 岡本啓

詩|
 大崎清夏
 佐野豊


発行人┆後藤聖子
編集長┆鈴木康太
組版・デザイン┆川島雄太郎
製本指導┆紙とゆびさき
写真┆寺岡圭介
印刷・製本・発行┊七月堂
創刊号発行日┆2024年5月25日
発売┆5月20日 頃
価格┆1,100円(税込)
発行部数┆500部
付録┆ポストカード
通算12号を不定期にて発行予定

創刊号 書影


創刊のきっかけ

ここ4年ほど、母親でもある前社長、知念より事業を引き継ぐ準備をしていました。

その中には、もちろん実務的なこともあったし、覚悟の問題もありましたが、なにより、自分だったらどんな風にしたら会社運営を持続できるだろうか、という軸をみつけることが重要でした。


七月堂には十代の頃からオペレーターとして勤務し、そののち営業と広報、七月堂古書部という店舗の設立に関わることとなりました。

デスクワークから、大型書店や街の個人書店、セレクトショップなど、様々な店舗を訪ねる仕事に変わりました。

右も左も分からない営業だったにもかかわらず、多くの書店さんがあたたかく迎えてくださり、おぼつかない本の説明に耳を傾けて貴重な時間を割いてくださいました。
そんななか、


「詩集をどんな風に展開していったらいいか悩んでいるんです」


そうおっしゃる担当者さまは決して少なくありませんでした。


七月堂古書部を通し、古書と新本を扱う書店の店主となって悪戦苦闘しているうちに、お店の棚はお客さまや地域が作っていくものだということを知りました。


いい本だから。
おすすめだから。


必ずしもそれだけで本が売れるわけではないと気づきました。

あの本がお好きなら、こんな本はどうだろう。

店に置く本を選ぶ基準のひとつに、七月堂古書部を利用してくださる方々があたまに浮かぶかどうかというものさしが生まれました。


そんな風にしてくりかえされるお客さまとのやりとりの中、古書部の棚は耕され成長してきました。


こんなにも繊細で、多大なる労力気力をともなう作業のなか、七月堂の本を置こうとしてくださっていたのだと気づいたとき。
どう表したらいいのか分からないほどの感謝で胸がいっぱいになりました。

版元にできることといったら、一冊でもいい本をしっかりと作ること。広報していくこと。

まずそれが足元を支えているとして、他にももっと、もう少し、手を伸ばすことはできないだろうか。


そうしてうまれたのが、「AM 4:07」でした。
そしてそれは、これからの七月堂を持続的に運営していくことと重なりつながっていくのではないかと感じました。



どちらでもあって、そのものでしかないもの。

「AM 4:07」というタイトルの由来は、まず第一に、カバー写真を、尾道にある書店「紙片」の店主、寺岡圭介さんにお願いすることが決まって、それを邪魔しないものであるということ。

「詩」と「日常」のあいだにあるもの、またそれそのもの。

七月堂という社名から、「7」という数字を使えないかなど。
いくつかの条件のもと検討しました。

それで、ふと、7月の東京の日の出を調べてみると、だいたい4時半前後で、おそらく4時すぎにはぼんやりと朝の光がのぼってくる気配を感じている頃なのではないかと思いました。

振り返ればまだ夜がたたずんでいて、もう片方では新しい1日が始まろうとしている。
そのあわいに立つ。


友人の言葉

すこしだけ余談になりますが、友人にこの雑誌の概要とタイトルを見てもらったら、「もし先頭に “I” をつけたら、“I AM 4:07” わたしは4:07、わたしは明け方に立っているとも読めますね。“I” は、作り手や書き手、読み手、渡し手で、その人たちがいてはじまる雑誌にも見えてきますね」と言ってくれました。

見えないものを瞬時に言葉にして伝えてくれる友人の聡明さにあらためて驚きながら、そんな雑誌になっていけたらとまたひとつ思いを重ねました。



ZINEの特徴と執筆依頼時のこと

この雑誌では、詩人、作家、文筆家、書店店主、書店店員、版元が書き手となって、「詩」に関わって生きる人たちのことそのものを知っていただいたり、身近に感じてもらえるものになったらと考えています。


書店店主の方に依頼する際お願いをしたのは、本のこと、書店のこと、お客様のことではなくても、今日食べたチキン南蛮弁当がおいしかったとか、いまいちだったとか、お店のある町のこと、好きな景色や洋服のこと、なにに触れていただいてもかまいません。といたしました。


この時代に本を売る、大切なお店、限りのある棚に「詩」を取り扱われている方の日常をお聞きしてみたいと、誰より自分がそう思っていました。


詩人の方へエッセイのご執筆を依頼したのは、これまで詩を読んだことのない方にも詩集を手にするきっかけになるのではないか、という考えもありましたが、これも誰より自分が読んでみたいと思っていたことを記しておきます。


西尾勝彦さんとPippoさん

日ごろよりお世話になっている西尾勝彦さんの書き下ろし詩とエッセイ、Pippoさんによる近現代詩について触れたエッセイ、これも自分自身が読んでみたいのと同時に、読者の方に届けたいと強く思っているお二方の文章でした。
Pippoさんと西尾さんが12回にも渡る連載を引き受けてくださったことが、「AM 4:07」のエンジンとなり、このZINEのすべてが始まりました。


池上規公子さん(葉ね文庫)

そして同じく12回のエッセイの連載を引き受けてくださった葉ね文庫の池上規公子さん。

七月堂がなにか挑戦しようとしている、それならと、大変お忙しいなか無理にちかいお願いを受け入れていただきました。

これでもうこの雑誌はしっかりと、ゴールへ向かって歩き出すことができるとおもえました。
創刊号には池上さんのお人柄が伝わってくるエッセイをお寄せいただきましたので、ぜひぜひ、ご覧いただきたいです。


寺岡圭介さん(紙片)

そして12回のお付き合いを引き受けてくださったもうお一方は、紙片の寺岡圭介さんです。

SNSに投稿されていた写真を、素敵だなぁと以前より拝見していました。
アップされる写真にたとえ人物が登場していなくても、どれにも誰かの気配を感じるような温度を感じます。
それはもしかすると、寺岡さんのまなざしの温度そのものなのかもしれないと思ったりもします。

カバーだけでなく、挿入写真であったり、付録のポストカードなど、写真はすべて寺岡さんの作品を使わせていただいています。
寺岡さんのご協力によって、「AM 4:07」はことばによる詩だけではないところまで広がってくれるだろうと思いました。


城下康明さん(ひとやすみ書店)

そして4回の連載となる、ひとやすみ書店の城下康明さん。

ひとやすみ書店さんとのご縁は、西尾勝彦さんの『歩きながらはじまること』をお取り扱いいただいた頃からなので、6年目くらいでしょうか。

新聞などへの書評を連載されているとはいえ、日ごろから執筆活動を盛んにされているわけではないので、依頼ではきっと戸惑わせてしまったかと思います。

それでも、と、熟考のうえ引き受けてくださったことが心から嬉しくありがたい気持ちでいっぱいです。

ひとやすみ書店は決して広いとはいえないスペースなのに、懐の深さを感じさせるような空間が心地よく広がっていて、風通しがよくて、一度訪れてしまったらもうきっと、次の機会にもと足の向かう書店さんです。

そんなお店を作られている店主のエッセイの連載です。
ここでしか読めない貴重な記事です。ぜひお手にとってご覧いただきたいです。


ゲストコーナー、詩とエッセイ

詩のコーナーでは毎回二名の方に書き下ろし詩をご寄稿いただく予定です。
創刊号では、大崎清夏さん佐野豊さんにお願いしました。
大崎さんの本は個人的にも発行を楽しみにしていて、少しずつ集めては大事に読んでいます。お引き受けいただきとても嬉しかったです。

佐野さんは、昨年七月堂より『夢にも思わなかった』という詩集を発行したのですが、それよりも前は書店のお客さんとして通ってくださっていました。
いっしょに詩集を作れたことは、決して当たり前ではない奇跡のようなご縁だったと思っています。

エッセイのコーナーでは、朝吹真理子さん岡本啓さんに、編集長が考えた創刊号のお題「PM 6:50」でご寄稿いただきました。
ただ、ただ、「おすすめです」と書いちゃいます。
本当に素晴らしい文章をお寄せいただきました。
読まないと後悔してしまうかも、と言ってしまいたくなるくらいです。
ぜひお手にとってご覧ください。


選書コーナー

選書のコーナーでは、毎回編集長である鈴木康太が考えたお題で詩歌本を3店舗さまに選書していただく予定です。

創刊号は、恵文社一乗寺店の能邨陽子さん古書ビビビの馬場幸治さん紙片の寺岡圭介さんにご寄稿いただきました。
創刊号のテーマは「しくじった夜に星空の下で読みたい詩歌本」です。
どんなご選書をしてくださったでしょうか。コメントも寄せていただいています。
編集長による店舗紹介もございます。こちらもぜひぜひ、ご注目ください。



詩を中心とした刊行物にしては、「詩について書いてください」という依頼が少なめだったと思うのですが、結果的にとても詩的なZINEになったと感じています。


「AM 4:07」は、不定期で全12回の刊行をめざします。

七月堂にあるオンデマンド機で印刷をして、製本家の紙とゆびさきさんのご提案のもと、スタッフでひとつひとつ製本していきます。
各号、限定部数の発行です。

すべてを刊行し終わったあと、なんらかの形にまとめるのかまとめないかも、まだなにも見えていません。

ぜひお手にとってご覧いただけましたら幸いです。
なにとぞよろしくお願いいたします。



創刊のことば

「AM 4:07」創刊にあたって
この、「詩」と「エッセイ」そして「書店」をテーマに立ち上げた雑誌のタイトルは、もうすぐ日の出を迎える空を見上げると、夜とも朝とも名付けられない景色が広がっているであろう七月の東京の空のことを想像してつけられました。どちらでもあって、どちらでもない。また、そのものでしかありえないもの。世界にはきっと、名付けられていないものが、名付けられたものの何百倍もあって、そんなことには関心を持たずに存在しているような気がします。
自分らしく生きるということが、何者かになるためではなく、ただその人そのものであればよいと思えたら。
これからの七月堂が目指したいことのひとつ、「自分らしくあれる場所」を自分自身の手で作り守っていくために、全一二回の発行を目標に創刊しました。
詩を書く人と、読む人と、売る人の架け橋になることを願い、ありったけの感謝の気持ちをこめて作っていきます。
手にしてくださる方にとって、思いがけずふと、詩的な世界を楽しんでいただける雑誌になれることを願っています。
2024年3月 七月堂 後藤聖子


お取り扱い店舗さま


葉ね文庫
紙片
ひとやすみ書店
古書ビビビ
のほほん製作所
hoka books
本のあるところajiro
本屋象の旅
長谷川書店水無瀬駅前店
云々者
青と夜ノ空
本の栞
blackbird books
ホホホ座浄土寺店
ますく堂
庭文庫
まわれ虎
自由港書店
百年
ひるねこBOOKS
本屋ルヌガンガ
twililight
曲線
Title
開風社 待賢ブックセンター
Amleteron
わおん書房
三帆堂
BOOKSHOP TRAVELLER



書店さまへ

「AM 4:07」をお取り扱いくださる書店や店舗さまを募集しております。
内容をご覧になりたい場合は下記問い合わせ先へとご連絡ください。
入荷をご検討いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

【お取引内容】
買切りのみ

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販売価格 1,100円(税込)
発売時期 5/20頃
発行日 5/25
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