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D2Cというビジネスの新たな形

佐々木康裕さんの書いた『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』を読んで思ったことをいくつか綴っていこう。

D2Cとは?

D2Cは Direct to Consumer の略。世の中が発展して、デジタルでのビジネスが盛んになってきた昨今。そのデジタル特性を生かして、消費者と直接の関係を持つ形のことを指す。

世界観の重要性

私がモノを買うとき、そのモノが自分の生活にとってどのような意味を成すのか、それを作った企業はどのような価値を提供しているのか、といったことをよく考える。これは個人的な価値観だと思っていたが、どうやら世代としてそのような特徴があるらしい。我々はミレニアル世代とZ世代の間の立ち位置にあるが、それらの世代は、モノとしての価値よりも、もっと広く、モノがもたらしてくれる価値のようなものまでを重視するとのこと。

そのために、企業側の消費者へのアプローチも、その価値観にフィットする必要がある。このアプローチはD2Cの企業は得意だという。モノそのものを売り出すプロモーションではなく、企業としての世界観を提示することが、モノの価値を高めることに繋がっている。

私としては、とても納得のいくものだった。企業として目指しているものに共感できると、モノに対しても興味がわく。

ストーリーテリング

世界観の提示の手法として有効なのが、ストーリーテリングだ。CMをたとえて考えると、モノの機能や特徴を述べているだけでは面白みに欠ける。かといって、特段大げさなものを作って印象に残そうというのは、企業やモノとの関連性が薄くなるのでよくない。ストーリーテリングを用いれば、モノはライフスタイルにどのような利益をもたらしてくれるのかを、身近に感じられる物語のうえで伝えることができる。

私が好きなCMの多くは、このストーリーテリングが活用されていることに気づいた。

受験に落ちた浪人生が、翌年の受験に向かうまでの日々を描いたCM。私はまさに受験期真っ盛りの時にこのCMが流れていた。YouTubeで毎日のように見てモチベーションを高めていたものだ。

カロリーメイトの存在感はそれほど大きなものではない。でも、この物語の中で、頑張る人のエネルギーになることをたしかに感じさせられる。そして、自分も受験を越えてきた身として、この主人公に自分を重ねて見入ってしまう。だから、心に響くし、商品の価値を全面的に出さなくても印象に残っている。

D2Cはコミュニケーションを意味する

上記したストーリテリングがあったり、世界観に共感できたりすると、企業に対しては好感を持てるようになる。消費者と直接的に関わることは、コミュニケーションが重要になってくる。オンライン事業でのコミュニケーションとして、最適な形とは?頻度とは?企業と消費者との関係を長期的に続けていくには?ということは、本書を読めば参考になる事例を知ることができる。少なくとも、デジタルの発展を遂げ続ける今、企業と消費者の距離は近くなっていることがわかる。近くならなければいけない。その近さを有効に活用できれば、この関係性はより良くなっていく。

さいごに

私も、オンラインでモノを購入する機会は増えてきた。企業としての価値も求めるようになってきた。ただ、企業と自分の関係なんてことはあまり考えたことがなかったので、いい機会になった。これからの消費活動で、役立てていきたい。たぶん私の知らないところで、D2C企業はたくさん生まれて、人々に新しい世界観を与えているのだと思う。もっとアンテナを高くはっていきたい。

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