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「新しくしない」という選択

今回はWEBサイトの運用(制作面)について書いていきます。
現在まで中小企業のサイトを中心に新旧問わず沢山のサイトの運用させていただきましたが、今回は特に古いサイトの運用を通した気付きを書いていきます。

サイトの運用はクライアント様のご予算の都合もあり、積極的にリニューアルせずにそのまま古い状態で運用する場合が多々あります。中には10数年以上前にリリースされているCMS、tableコーディング、グラーデションを多用したデザインなど…

そういったサイトの運用、修正を行う場合はどうにか現状のデザイン、コーディングを活かせないかと考えながら対応していきます。
決められた予算内で行うWEBサイトの運用の場合、必ずしも新しくする事が正解ではない場面が多いからです。

デザインの場合

・強いグラデーション
・範囲が広く、濃すぎるドロップシャドウ
・狭いwidth幅
・左寄せになっているサイト
・デザインルールが皆無

やはり当時は現在ほど、UXの概念は浸透してない。なんとなく目立つからとか、理由もないようなアウトプットが多かったのではないかなと思います。

デザインの修正、バナー作成の際は基本的には当時のサイトルール(書体、字間、影、色使い、グラデーション)に合わせて、可能であれば可読性、視認性の改善、チューニングをしていきます。

仮に一部のみに唐突に最近のテイストのデザインを取り入れれば、単純に違和感が凄い…。多少古くても現在のデザインを踏襲しつ、設計や導線部分で改善していく方が予算を抑えて、成果に繋がる可能性が高いです。

コーディングの場合

text-indent: -9999px;
・hoverをCSSのbackground、text-indent:-9999pxで処理
・nth-childを使用せずに偶数、奇数、最後などにClassを付与
・古いInternet Explorerを筆頭に、
 ブラウザ毎による挙動の違いに対応する為のhack、float解除
・非効率なID、Class付与
・CSSで再現出来る部分で画像を多用
・br連続によるmarginの取得

細かい所を書き出したらキリがないですが…

こういったサイトの修正対応を行う際は、なるべく当時の制作者の意図を汲み取り、既存のコーディングルールに沿いながら対応を心がけています。

中には絶妙なバランスでサイトが成り立っていたりするので、あまりドラスティックな改善は控えたほうがいいケースが多い。

デザインとは違い特にコーディングの場合は、特に「新しい事」が正解ではないケースが多いです。

運用時に最新のコーディングを取り入れすぎない理由

新ルールでサイトがカオス状態
サイトの一部に新たなルールを追加してしまうと、コーディングルールが複雑化し、今後の修正の難易度を上げてしまう可能性が高い
端末・ブラウザチェック、調整作業が多くなる
比較的新しいCSSの記述等はブラウザ、端末により表示の差異が起きる可能性が高く、チェック・調整の時間がかさんでしまう
対応者により品質のバラつきが生じ易い
組織でサイト修正、運用をする場合はコーディングガイドラインが必須になります。新たな技術の積極的な導入は組織内で習得度合いに差が生まれ、品質のばらつきを生みやすい。

新規と運用の視点の違い

運用の場合は公開という明確な終わりはなく。様々な事を考慮した上で長い視点で考える必要があります。新規のように、十分な準備期間や予算も潤沢にない事も多いので、理想論ではなく、時には現実的な判断も必要。

余談

古いサイトの運用をしていると。中には「流石にこれはないでしょ」っていうデザインやコーディングに遭遇する事もありますが…

現代のシステマチックなコーディングや、マーケティング思考、ユーザー体験を意識したデザインは、先人の方々の泥臭い試行錯誤の積み重ねがあって生み出されたものだなと改めて感じます。

同時に自分たちの日々の試行錯誤も、この先生まれてくる新たな技術のヒントに繋がっていけばいいなと思います。

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