見出し画像

「第2期横浜市自殺対策計画(素案)」に関するパブリックコメント

横浜市は、「第2期横浜市自殺対策計画(素案)」に関するパブリックコメントを募集していました。そのため、以下の内容を送りました。


1  「こども・若者の自殺対策の強化」の中身の見直し

 1)「こども・若者の自殺対策部会」(仮)を設置すべき

 P12には、「自殺者の年齢構成」が掲載されている。横浜市は20歳未満と20代の自殺者が全国平均よりも多くなっている。ならば、20歳未満と20代の者への対策が充実させるべきだが、特化した記述はない。そのため、20歳未満と20代の者を対象にいた施策について充実させるべき。その際、こども基本法などに基づいて、こども・若者の意見を聴取し、当事者年代の参画をもって施策を練り上げるべき。そのための、「こども・若者の自殺対策部会」(仮)を設置すべき

2)研修の充実を求める

 たしかに「こども・若者」の自殺者は横浜市でも多くなっている。そのため、「こども・若者」に特化した施策の必要性はある。P65にあるように、(イ)の主な取り組みとして、「SOSサインの出し方・受け方・繋ぎ方教育」では、子どもの社会的スキルの向上に注目している。

その取り組みの必要性は認めつつも、すでにSOSやサインと出していることもある。そのため、周囲の大人たちがそのSOSやサインを見逃さないように注意していくことが必要で、こども・若者に接する仕事をする人たちへの研修をすべき。また、周囲の大人に追い詰められることによって衝動的に自殺をするこども・若者を想定することも望まれる。大人の言動におってこども・若者を追い詰めないようにする研修も必要である。

3)独自に実態把握をすべき

強化をするならば、こども・若者の自殺の実態把握をするために、独自に心理学的剖検をもとにした遺族等のヒアリングをすべきである。


2 自殺の原因・動機について、自殺統計ばかりに囚われるべきではない

 現存する自殺統計は、警察統計と人口動態統計だが、「原因・動機」は警察統計のみ。しかし、警察統計は、警察の捜査段階で、他殺か自殺か事故かを判断する材料にすぎない。自殺対策の視点でつくられた統計ではないことは、警察庁も認めている。

そのため、警察統計の「原因・動機」は参考程度の情報としてみるべき。「健康問題」が多くなっているが、自殺直前に「健康問題」を有していることになるが、なぜ、自殺で亡くなった人が「健康問題」を抱えるようになったのか。心理学的剖検のように、個人のライフストーリーとしてみていく必要がある。

3 危機要因イメージ図の見直しを

 P56には「図表3−1 自殺の危機要因イメージ図」が掲載されている。この図は、民間団体が過去の調査をもとに作成されたイメージ図だ(「自殺実態白書」2013 NPO法人ライフリンク)。同法人がまとめた「“1000人の声なき声”に耳を傾ける自殺実態調査」をもとにしている。調査期間は07年7月〜12年10月の約5年間。対象は遺族523人。

この調査は、中高年男性の自殺が増加していた時期であり、かつ、いつ遺族になったのかは不明で、継続的な調査ではない。ピアレビューを受けた科学研究の成果である確認はされていない。そのため、科学的な意味でコンセンサスのある「イメージ図」を使うべきで、このイメージ図を使うべきではない。

4 「自殺は、その多くが社会的な取り組みで防ぐことのできる問題である」という表現の見直しを

 P%7には「自殺は、その多くが社会的な取り組みで防ぐことのできる問題である」とある、たしかに、そうした視点は必要な部分がある。しかし、自殺対策基本法が制定して以降も、社会的な取り組みをしても、防ぐことができない自殺が多くあります。社会的な取り組みの限界点を意識した表現にすべき。また、「防ぐこと」ができない自殺に直面した遺族からすれば、自責の念を強めかねない。

5 インターネットを活用した相談事業(相談)について、事業の検証を

 P61には「基本施策2:生きることの包括的支援の推進」として、(イ)主な取り組みの中に、インターネットを活用した相談事業(相談)がある、たしかに、こども・若者は電話相談よりもインターネットを活用した相談を利用する傾向だ。

しかし、厚生労働省がSNS相談を充実させた2017年以降、自殺者数は、少なくとも10代においては減少しておらず、増加傾向になっている。また、相談において、リスクが高いと判断された場合、相談で終わることなく、支援に繋ぐことをすべき。横浜市においては、もインターネットを活用した相談の効果検証をすべきである。

6 「遺された人等」には、遺族だけでなく、恋人、友人、同級生、同僚を明記すべき

P64には、「遺された人等の支援」があるが、「自死遺族」という言葉を中心に書かれている。たしかに、よく読めば、「自死遺族など」とも書いてあり、「恋人、友人、同級生、同僚」も含まれると読みことができます。しかし、あえて、「恋人、友人、同級生、同僚」を明記することで、当事者が支援の対象として意識することができる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?