それが欲しかったのに、それが嫌になるってときは考えてみる機会よね

自分に嘘をつこうとしているわけじゃなくても間違える

「楽しさとかやりがいとかよりも、とにかく安定しているほうが大事なんです」そうやって決めた人が、何年もたってから「安定してますよ、そりゃ。でもつまらなくて」って言って辞めるなんてことはよくある。

そういえばアラサーのある時の私は、極端に刹那的でやけっぱちな心境になったことがある。0歳の娘は病気がちで、仕事でいろいろ上手くいかないことが重なっていて、夫は会社の経営で苦労していて家庭内がギスギスしてて、私は人生最悪に自己否定な気分が強くて、今の私なら「その考えは白黒思考だね。ちょっと落ち着こうか」と諭したいくらいに極論に支配されかけていた（苦しかった）。その頃の自分が「もうこれから私の人生は〇〇だけしておけばいいのよ」と決断しようとしていて、自分でもそれしかないと信じ込んだんだけど、半年もたたないうちに「どう考えてもおかしい。無理だわ。」と気づいて目を覚ました、なんてことがある（笑）

大きな決断をしようとするときに、気を付けてほしいこと

若い頃の自分は心理学なんて知らないし、今の世の中のように相談できる場所もあまりなかったし、それでもまあ本を読んだりしつつも、ジグザグやってきたのだろう。のちに学びながらふりかえると「あれは間違ってたな」「あの方法はよかったな」「ああいう場ではこうしたほうがいいんだな」ということにいくつもつながっている。苦労は無駄じゃない（笑）
その中で、一番深く思った人生の選択での大事なことは、自分のコンディションを知ったうえで
「今の自分は大きな決断をするときじゃない」と気づいて保留にするってことなんじゃないか、ということ。

たとえば、よくある「辞めたほうがいいいと思うんです」って人が言う場面にこういうのがある。
・職場で失敗して落ち込んで自信無くしてる（叱られた）
・メンタル落ちてて休職に入ってる
・（ワーママの場合）小さい子どもが立て続けに感染症で休みがち

でも私が相談されたときにはいつも、「それはちょっと待って」「辞めてもいいけど今じゃない」そうやって言ってる。だって、感情がゆさぶられてて昔の私じゃないけど、白黒思考（100か０か思考）になってて、自分の「ほんとはどうしたい？」がまったく見えなくなっちゃっているときだから。

安定がダイジだって就職して、楽しくないって辞めたくなるのはどっちに本音があるんだろう？

どっちにもある、が答えだけど、そういう気持ちになったときに私ならば「状況はどうだったのか」「環境には何があったのか」を一緒に思い出したい。そのときたとえば実家の経済状況が悪くて、とにかく実家を出て落ち着いて暮らしたい、というのが最大の望みだった、という人も、その負の要素が強すぎて「実は（ゆとりがあるときには）いろんなことを考えて創り出していくのが好き」って自分が覆い隠されてしまっている、なんてことはある。あるいは昔の私のように何かどうにもならない混乱の中にいて、自分を肯定的にみられなくなっていて「自分にとっての面白い職場」よりも「こんな自分を受け入れてくれる職場」を選んだのかもしれない。
そのときは一生懸命決めたのだから、それはそれでよいけれど、昔の自分が思ったことと違う気持ちがわいてきたのなら、それは「あなたのナラティブ」を改めて一緒に構築していくタイミングだよね、って思う。

表面的な一貫性より、中に流れる物語を大切に

こんな話をすると「私のやってきたことって、なんかブレブレで一貫性がなくて」と反省モードで話す人がいるけれど、そんなことは本当に気にしなくてよい。確かに採用する側は「この人バラバラだな」とは思うかもしれないが、それはどんなストーリーとして相手に伝えるかで大いに変わるから。だからまず、自分はどんなことを意識して（あるいは無意識にでも）重視してきたのか、その結果として何をどう選んでここにいるのか、そんなことが（面接用という意味ではなく）腑に落ちると自分の見え方が変わると思うよ。

「ああ私って、こうなんだな」
そんな発見（発掘）と物語の再構成をお手伝いする（一緒に著す＝共著者）もキャリアコンサルティングの役割です。


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