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最低の営業だった私が「営業のなんたるか」を理解した日のこと

営業職って世の中のかなりを占める重要な仕事なのに、学生たちは「営業以外で」みたいな言い方をよくしている。営業っていう言葉の意味が、ほんとうに誤解されているなと思うし、営業という職種の途方もない幅の広さゆえだとも思う(ちなみに私に言わせると、市役所の中にも「営業職」はある。やってる人は自分が「営業」やってると気がついてないけどね)。

わたしは今、1人で仕事をしているフリーランスで、つまり社長で経理で総務で研究開発で広報で講師でそして営業をしているようなもの。そもそも私が動かなければ、仕事は生まれないので、社長です!というより(フリーランスなので社長という役職はないけど)営業してます、のほうが近いくらいだ。なんせわたしの売り上げを作ってくれる人など、わたし以外にいないのだから。

でも仕事人生の前半は営業って仕事への苦手意識しかなかった。実際に新卒で入社して最初の2年間営業配属だったけれど、どれほどダメかは骨身にしみた。凄い営業伝説が山ほど転がっているリクルート出身なので、周りには伝説の営業マンはたくさんいたし、お客様に信頼されてとてもいい結果を出している人だって山ほどいた。そういう事例紹介は職場でいつもなされていたし、表彰されるスーパーな人の話だっていくらでも聞いていた。さらに、わたしの仕事は編集者だったので、世間の凄い人の取材をする機会はいくらだってあって、営業の成果ってやつがどんなものなのか、頭ではよーくわかっていた。

はずだった。

でも、編集者として取材対象を見つけるために粘って電話することはできるのに、営業って言われるとお客様のところに出向くことがいきなり高すぎる壁になるっていう精神状態は16年働いていても変わらず、「ほんと、営業には向いてないよね。わたし」と思っていた(まあ今でも思っているけど・笑)。

そんなこんなを経て、転職し市役所職員として働いて10年が過ぎたころ、わたしのなかでパカーンとパラダイム転換が起きた出来事があった。パカーンって頭の中の思い込みが静かに割れたのを、よく覚えている。

そのころ私は道の駅を創る、というプロジェクトの一員だった。わたしの担当は駅全体のプロモーションと、店舗(レストランと農産物の直売所)の中の全部。このプロジェクトは土木、建築の部署(ハードを造る人たち)と、商業、農業の部署の合同で動いていて、わたしは商業領域の担当として、いわゆるお店屋さんの什器の手配やレストランのメニューやら、なんかもろもろを考える人だった(とオマケにイベントと宣伝担当も)。その什器を手配するための計画を作っている段階のこと。店舗の什器って、レストランのイスとかテーブルもそうだし、野菜を並べる台だとか冷蔵ケースとか、棚とかそういうものと、厨房機器一式と、そしてレジ。このレジがよくわからなかった。レジって裏でシステムが動いているわけで、それにともなっていろんな機能があって、レストランの食券販売機と、農産物の値札と、全部が連動しているらしかった。でも、何が何だかさっぱりわからない。そうこうしているうちに(もちろん建設計画は公開されているので)各社さんが営業にいらっしゃった。

当時のわたしには決裁する権限があるわけじゃないので、単なる「担当係長」として深く考えずに営業に来た人たちの話を日々順々に聞いていた。するとA社とB社の営業さん(別々の日に来庁)はこんな風に話をしていった。「わが社の強みは~で、この製品は~が特色で、さらに~もできます」「松竹梅のプランがあります。松は~と~ができます。梅だと~な機能しかありません。」そういう話をファイルを開いてカタログをしめしながら、丁寧にしてくれた。そして「こちらの道の駅ではどのくらいのものがいりますか」と聞かれたが、その時点のわたしに答えられることはなかった。

また別の日にC社がやってきた。営業さんはファイルもカタログも出さなかった。そして「少しお話聞かせてもらえますか」と言うと、「どんな道の駅になるんですか」「レストランと直売所なんですね。レストランはいくらくらいのメニューなんですか。直売所は野菜だけですか」とかいろいろ聞いてきた。農作物の種類、数、そのほかの取り扱い商品、来場者数の想定、レジは何列予定しているのか、そしてレジで取得したデータはどのタイミングでどんなふうに使いたいか、などなど。ただわたしにはわからないことも多く「レジのデータって何に使うんですか」とわたしも問い返したり、「農作物に貼る値段のシールはどんな仕組みでつくれるか」なんて説明を聞いて「へえ」って思ったり、気が付けば「posシステム」がどういう機能で開店後にどんな役割をもち、レジにはどんな機能を持たせることができるのか、という全体像がぼんやり見えていた。
するとC社の人は「わかりました。今の状態だと、きっとこのタイプのレジにこのシステムを導入されるのが、一番適していると思います」と提案してくれた。そのあと導入後のサポートの話や、導入前のプロセスの話が続いたのだけれど、もうわたしのなかで「この数週間、何も見えなかったのはなんだったんだ?」くらいスッキリと課題解決した気持ちでいっぱいだった。

C社の人が帰った後、
ああ、これが営業なんだ、と腹に落ちた。
リクルート時代の自分がなぜダメだったかはもちろんのこと、当時語られていた「凄い営業」のみなさんのストーリーの意味が時を経て初めて、お客さんになってみて心からわかった。

営業って売り込むとか、買ってもらう仕事じゃないんだ。
お客さんの課題を解決する仕事なんだ、
と(ほんとスイマセン、わかったのが45歳とかで・汗)。

それから時を経て、独立してからも決して強いプッシュ型の営業はしてきてないし、今も苦手意識は変わらない。ただ、お客様と会うときのスタンスはがらりと変わった。今縁あってお会いしているお客様にとって、自分がお役に立てることは何かをまっすぐに理解して、そこに必要だと思うことを提案していくようにしている。そのあとに「受注」になるかどうかはまあ、結果だよねって(営業会社出身と思えないぬるさでスイマセン・笑)。
だから、本気でお客様の課題を理解すること、そこに役に立てると思うことだけをお伝えすることを「まるで楽しいおしゃべりのように」ブレストするかのように話していると、結果としてお仕事につながるということをしている(それを営業活動というらしい・笑)。

営業っていうのは最初に書いたようにほんとうに幅広い仕事で、会社の数だけあると思うのだけれど、でも、ダイジなのは「お客様の課題」を解決するための何かを直接(または間接的に)手渡して解決につなげるために動く人(活動)のことだと思う。もちろん直結しないことも多いのだけど(その話は深くなるのでまた・笑)つまり、お客様と営業は本来対等でwinwinなものなのだから。

…ということを、タイムマシンに乗って23歳のわたしに教えたいなあ(先輩は教えてくれていたのに聞く耳持たなかったのはわたしだけど)

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