親の仕事は待つ、待つ、待つ、信じる、待つ、だと思う。

「こんなはずじゃ」
この感覚を持たない親っていますかね。
いたとしたらごめんなさい、なんだけど、

親はこの我が子に対する「こんなはずじゃ」をどれだけガマンしてのみ込んで、子どもの真の姿をまっすぐ見て信じて待つか、で苦労するんだと思う今日この頃(まあSNSでいろいろ見るしね)

突然ですが、朝ドラ「らんまん」の話
見てない人にはピンとこないかもだけど、そこまで深い話をするわけじゃないので大丈夫。少しお付き合いください↓

主人公の万太郎(高知のお殿様のお酒も造っているという酒蔵「峰屋」の跡取り息子)は生まれつき体が弱くて、さらにその母も病弱な上に早世(父親はもっと早くに亡くなっている)し、店を束ねる祖母のタキ(気丈なタイプ)の愛情を一身に受けて成長する。時代は明治初頭。まだ江戸時代の名残も残る頃、万太郎には姉(実は従姉だが)がいるが、歴史ある峰屋は男子である万太郎が継ぐものとして育てられていた。けれども彼は下戸で、そして酒造りより植物観察が好き(な上にとても頭がよい)。姉は酒造りが好きだが「女は汚れているからダメ」と言われる(まあそんな時代)。
そこからのプロセスはいろいろあるんだが、とにかくそれでも万太郎は生涯かけて植物の研究がしたいと決断し、姉は酒造りがしたいと思う。しかも当時の植物学なんて海のものとも山のものとも、そもそも万太郎は小学校中退の身の上で、いきなり東京の大学で研究したいと言い出す始末(そこにまったく見通しはない)。
そんな2人が祖母に思いを伝え、受け入れた祖母がそれを使用人や杜氏たちに伝える場面は圧巻だった。時代背景から言っても、家業の状況から言っても、祖母の(ここまで万太郎に店を託すために必死にやってきた)思いも考えれば、相当無理な話。「こんなはずじゃ」と思うだろうし、祖母の願う未来像(特に万太郎について)は音を立てて崩れたことに。どんな思いでそれを飲み込み、腹をくくったことだろう。自分がこれまで考えて頑張ってやってきたことは、全部無駄になったのか?と思って責めたとしても仕方のない状況。祖母はきっと「それが万太郎が自分で決めた人生ならば、それが本人の幸せなのだ」と飲み込んだよね。それが万太郎の人生を大いに変えることに。

さて話は本題に。

親の仕事は…と書いたのは、もちろん自戒を込めている。
込めているうえで、こんなことを伝えたいなとふと思った。
いろんな親の立場の方の話、悩み、苦労を聞く機会がある。
学校の講演でお話すると、頂く質問もそういう感じのがある。
それは何か、っていうと、
ようは「親が思う、多分こうだろうからこうしたらいいよね、から外れる子ども像に対して不安」ってこと。

たとえば、
・テスト前なのになんで勉強しないでスマホばかり触ってるの?大丈夫?
・受験生なのに…(同上)
・休みの日に全然友だちと遊ばないんだけど、大丈夫?
・部活も習い事も途中で辞めちゃってるんだけど、大丈夫?
・何も話してくれないし何も教えてくれないんだけど、大丈夫?
・なんか派手な子たちと遊んでいるみたいなんだけど、大丈夫?
・そろそろ進路決める時期なのにやりたいことがないって、大丈夫?

…とかとか。

特別高い野望を持っている親ではなく(たとえば、何が何でも東大に行かせたい!とかじゃなくて)、親の言葉を借りれば「普通でいいんです」ってやつで、子どもとの関係だってそんなに押し付けてないし、命令してないし、意見も聞いてるし、っていう親の皆さんが、上のようなことをたくさんたくさん抱えて、心配して、接し方に困っていたり、
それでいろいろ子どもに助言したり(時には叱ったり)、話聞こうとしてこじれたり、強引に決めちゃったり、それらで子どもとの関係が上手くいかなくなったり。

でも親としてはね「普通に、高校を普通の成績で卒業して、普通に大学に行って、それでそれなりの安定した会社に就職して、いずれは結婚して子どもが生まれて、というくらいで…そんな高望みとかしてないんですよ」みたいな感じなの。つまり、親が生きてきたような人生、ってことかな。
(子どもにもっと野望を持っている親はたくさんいるだろうけど、今日はそうじゃない大多数の普通の親の話)

親はちょっと先が(子どもより)見えちゃう気がするから、目の前の子どもの態度を見ていると「え、もう手遅れになっちゃわない?」「こんな風でちゃんと大学に行けるの?」「このままでこの子、大人になれるの?」「この子のやりたいって言ってることじゃ、不安定で将来心配なのに」ってなる。

まあまあ全部、不安の原因って「親の中」にあるよね。
親が知ってる「大丈夫な世界」を生きさせたいっていう願望に、乗れるか乗れないかだけだったりする。

この前提が大きく違う。

そもそもみんなが大学に行くわけじゃない。進路にはバリエーションがめっちゃある。大学行かないと就職が…って思うんだろうけど、そんなことはない(何をするかで変わるけど、それを心配するのは子ども本人が考えることで、必要だと思えば後から大学行ったっていい)。若年労働者は激減するので、どちらにしても状況は全く違う。仕事の種類もきっと大幅に変わる。大卒ホワイトカラーの仕事なんて、ガラリと変わることは間違いない。何が良い仕事か、何が強い能力か、そんなことは普通の親にはわからない。むしろ子どもじゃなくて、自分のことを考えろ、だよ。

…って話が最近は伝わりやすくなった(笑)

でも私はこれ、べつにAIがどうだからって言ってるわけじゃない。
親の思うペースと時間軸で、子どもを動かそうとするな、と言ってるだけなの。みんなが18歳になったら進路をビシッと決めて22歳になったら社会人として就職するのが唯一の道じゃないよ。
その子が自分なりに考えて試行錯誤するしかなくて、失敗しながらも歩んでいくわけなので、それを見守っていたらいいってことだと思うのに、なぜそれが出来ないかというと
一つは、上の「親が思う道」を当てはめようとしてしまうから(時期を逃したらイケナイみたいな強迫観念付きで)
もう一つは、親のゴールが見えないから(お金も不安よね)。

こういう状況を引き起こさないためにも、親は子どもに対して自分の描く安心ルートを押し付けないようにすること、それは、つまり節目節目で「自分で決める・自分で選ぶ」ことをちゃんとしてもらうことだと思う。人が決めたものは、たとえ外から見たらどんなに良さそうで安心できるものでも、ちょっとしたつまづきで「やっぱり親が…」と他責になりやすい。なにより「決める」のは練習が必要だから、小さいころから一つ一つやって、自分の決めた結果を引き受けていく練習が必要。
もちろん、親が出来るのはここまで、と線を引くことも重要よね。

そう、これが自立への道だから。

うちにも相当に迷走してハラハラさせた娘が一人いる笑。
私はそのとき娘とではなく、自分の「あたりまえ」とめちゃくちゃ戦っていた。
なぜ私は娘に対してこういう感情が沸くのか?これはどこから来ているのか?それって正しいのか?必要なのか?そんなことをすごく考えた。
娘が何をしたくてそんな不合理な行動を取るのか、さっぱり理解できなかった。まあ本人もわかってなかったんだろうけれど(あるある)。

そして自分で着地した結論は
「今目の前の娘がどうとかじゃない。彼女が30歳になったとき笑顔で生きている、ってことを信じよう」だった。もう自分に言い聞かせた。

そのために私には謎な言動も行動も横目で見ながら「信じて待つ」を呪文のように心の中で唱えていた(もちろんうちのルールはあるし、そこには話し合いという名の激論もあったが、それは進路とか勉強とかそういうことではない。)

結局、私の「当たり前」が邪魔だったんだよね。
それからもう10年以上たっているが、なんていうかもう、うちの娘は2人ともタイプはまったく違えどとにかく「自立している」笑。
好きも嫌いもはっきりしていて、働く目的も明確で、ほとんどのことは自分で決めて自分でなんとかする。そうじゃないことでは私も含め人の力も借りられる。そこには自分を大切に思える気持ちが土台にしっかりあるからだと思っている。

自分で考えて自分で決めてやってきた、それを親は否定しなかった。いざってときには手を貸してくれた。見捨てはしなかった。
そんなことなのかもしれないね(ケンカも結構したけど笑)。

まあ今どきの憧れられるキラキラした仲良し家族ではないな笑


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