【#1苺小話】チーム1996。チョベリグ・MD・ポケモン・・・越後姫!!
新発田ファームの苺プロジェクトから少し脇道に入って、苺にまつわるちょっとした話題に触れるコーナーです。
第一話から超謎なタイトルですが、越後姫の誕生秘話に迫ります。
越後姫が生まれた1980~90年代の新潟の苺事情
今も昔も積雪の多い新潟。雪の降りしきる冬の一方、4~5月になれば急激に日照量・高気温のギャップの激しい環境下で露地栽培で苺が生産されてきました。
80年代当時のメイン品種は「宝交早生」。甘みと酸味のバランスの良い、昔ながらの品種ですが、収穫量が多く、実が柔らかい、形が不揃いとなりやすい。更には、最盛期の春からはさらに収穫量が飛躍的に伸びる上、実が柔らかく傷みやすくなるため輸送面での不安が尽きません。
早朝から深夜まで、収穫・選別・パック詰めを行うのが新潟の苺農家の宿命でした。
なぜ暖かい季節が傷みやすいのかについては、こちらの記事をチェック↓
土地柄故に八方ふさがりだった苺農家たち
全国では品種の移り変わりを経て、収穫時期を春ではなく年内(11月下旬~)に調節できる「促成栽培」へと移行していくなか、新潟では3~4月に収穫を迎える従来の作型である「半促成栽培」が主流のまま。
それはなぜか?
寒冷地で苺栽培を行うのに、なんとか形になる品種が「宝交早生」だったからです。
1980年代に、福岡で「とよのか」・栃木で「女峰」という苺品種が誕生しました。新潟でも、これらの品種の栽培を試みましたが環境が合わず断念。
今では苺はハウス栽培のイメージがありますが、当時は露地栽培が主となったこともあり、もろに寒気の打撃を受けることに。
どうしたらええんじゃ~~~!
当時の農家さんたちの叫びが聞こえてくるようです。
私だったら、苺農家やめたくなります。
そんな状況下を打破するべく生まれたのは、それはかわいいお姫様でした。
今年で26歳を迎えた越後姫
越後姫は、新潟県園芸試験場によって6年という歳月をかけて1996年(平成8年)に生み出されました。
名前の由来は「可憐で瑞々しい新潟のお姫様のような苺」という所から。
生い立ちが気になり、調べてみると驚き桃の木!古
当時の苺界の二大スターを親に持っていることが分かりました。
越後姫の品種交配は、母(ベルルージュ×女峰の交配種)×父 とよのか
という3品種を掛け合わせています。
それぞれの特徴を簡単にあげると
①ベルルージュ:寒冷地向けに開発された。円錐形で美しい深紅が特徴
②女峰:1985年栃木県生まれ。「東の女峰」と称される当時のトップスターの1つ
③とよのか:1984年福岡県生まれ。女峰に対して「西のとよのか」として苺界をけん引してきた有名品種
すごい。こんな一流の血が流れていたとは、本当にお姫様や・・・!(笑)
ほかの産地ではクリスマスや正月に向けた冬が旬の苺が多かったことから、新潟では春に旬を迎える苺として越後姫を生み出しました。
今後、小話コーナーで個々の品種について触れていきたいと思います。
最後に1996年のいろんなものを集めてみた
出来事
・アトランタ・オリンピック開催(金3、銀6、銅5)
・病原性大腸菌「O157 」による食中毒が全国各地で発生
・東京ビッグサイト(東京国際展示場)が開場
・漫画家の藤子・F・不二雄が死去
流行語
・アムラー (歌手の安室奈美恵のファッションを真似た人のこと)
・ジベタリアン (路上や車内に座り込む若者)
・チョベリバ/チョベリグ (超 very bad/goodの略)
・初めて自分で自分をほめたいと思います (有森裕子がアトランタ五輪女子マラソンで銅メダル獲得したときの発言)
・プリクラ (プリント倶楽部の略)
新商品・ヒット商品
・NINTENDO64(新)
・ポケットモンスター赤緑(新)
・たまごっち(新)
・ポータブルMDプレーヤー(ヒット)
うわ~~~。懐かしい!
同じ平成っ子としては、ムネアツなワードがいっぱいだ~~~。
特にポケモンは兄弟だけではなく、親まで1人1つソフトを持って毎日熱中していました。私は今でも現役トレーナー(笑)
そんな頃に越後姫は生まれたんだなぁ。
いろんな品種が県外では誕生しているけど、新潟では越後姫以来新しい品種は発表されていません。
それだけ、地域に根差して愛されているということなんですね!
参考:新潟県園芸試験場研究報告「イチゴ新品種“越後姫"の育成と栽培特性」
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