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ある中国企業の購買意欲を刺激する「ブランドストーリー」のお話

中国のトレンドを調べていた時、
中国のコーヒー市場が10年で60倍になったという記事を発見しました。

2014年の600億から、2024年には約3兆6000億円って凄い規模ですよね。

さて本題に戻りますが、
この記事を見てふと思い出しのが「隅田川珈琲」というブランドです。

「隅田川珈琲」は日本の隅田川をモチーフにした名前ですが、実は中国発新興コーヒーブランドなんです。

(創設者はドリップバッグを中国に広めたパイオニアだとか)

気になるのが、なぜ「隅田川珈琲」という名前にしたかということですよね。

気になるブランド名の理由とは?

「隅田川珈琲」の創設者と奥様が日本へ留学していた頃、夕暮れの時の隅田川のほとりで、よく夕日を眺めて一杯のコーヒーをシェアして景色とコーヒーを楽しんでいました。
隅田川と黄昏時のコーヒーの思い出から、このブランドが隅田川「TASOGARE」と名付けられました。

「隅田川珈琲」HP出典

隅田川で奥様とコーヒーを飲んだ事から「隅田川珈琲」というブランドが生まれ、黄昏時のコーヒーの思い出から、「タソガレコーヒー」という商品ブランドも生まれたんだそうです。
今も尚、ブランドとして二人の思い出が残っているのは素敵なことですね!

中国で「隅田川珈琲」が人気な理由とは?


そんな素敵なエピソードとは別に、とても参考になるお話があります。

それはこの「隅田川珈琲」が中国で爆売れをしているという事です。

2020年には販売数量が累計3億杯を突破しており、つい最近ではシリーズCで数億元を調達したそうで、今も尚勢いは衰えていません。
また先月開催した中国・杭州アジア大会でも、独占公式コーヒーサプライヤーとして契約を結んでいます。

実は爆売れの背景の一つとして、「隅田川珈琲」というブランド名が中国人の購買意欲を刺激しているんです。

理由を説明するにあたり、中国人の購買に関して軽くご説明します。

中国のECサイトの市場規模は世界1位を誇っています。
天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」「拼多多(Pinduoduo)」といった大手ECサイトが有名どこです。

独身の日や旧正月には、これらのプラットフォームで大々的なキャンペーンなどが開催され、そこでの売上は常軌を逸しています。
また日本に観光に来る中国人の爆買いも有名ですよね。

それだけ中国ではモノを購買する文化が根付き、サプライヤーやモノが溢れているのが現状です。

さてこれだけ市場が確立している中で、中国人は何を基準に購入するのでしょうか?

・金額?
・質?
・生産地?
・オススメしている人?
・口コミ?

どの基準も正解ですが、市場が成熟するにつれて新しい価値観も生まれてきます。

それは【ブランドストーリー】です。

例えばなにか「モノ」を購入しようとする際、
今の中国の市場だと、似たような金額や質、口コミが多数存在しています。

この状態で、他の「モノ」と差別化できるでしょうか?

どれも似たような「モノ」ばかりで、購入する決め手に欠けますよね。
そこで大事になってくるのが、「モノや商品」のブランドのストーリなんです。

今回の「隅田川珈琲」の例だと、コーヒーはコーヒーでも、「隅田川の珈琲」なんです。
日本の「隅田川」の名前を使っているコーヒーブランドなんです。

(ファッションブランドにParisを使うようなイメージ?)

中国人から見ると「隅田川珈琲」は、日本のブランドと思う人が大多数いる事が大きく影響しているんです。

他のコーヒーはどれも中国で作られたコーヒーだと仮定すると、
「隅田川珈琲」に関しては、日本の隅田川で作られたコーヒーだと思っている人が多いという事です。

ましてや「Made in Japan」のクオリティが担保されているコーヒーだと思う人までいると思います。

そして実際に「隅田川珈琲」は中国の会社ですが、コーヒー自体は日本で製造しているんです。

これが「隅田川珈琲」が、中国の市場で差別化できているポイントの一つなんです。他にもマーケティング施策など様々ありますが、差別化の1つとして理解して頂けると幸いです。

この「ストーリー」に関しては、モノ以外にも通用すると思っており、
これからの時代、旅行先のストーリー地域の歴史モノの歴史など、付加価値を与えることによって、購買意欲を刺激できるのではないでしょうか?


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