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「盗む」と「模倣」。レンジローバー中国裁判にみる雑感

中国の裁判所が、
”自国企業”に対して、
外資を模倣した車の製造販売中止、損害賠償を命じた。

※参考、ジャガーランドローバー社のニュース 以下JLR

衝撃だ。
3つの雑感を綴っていこう


北京の裁判所も捨てたものじゃない

北京の朝陽区(波田陽区?)にある裁判所。少し前に人情味のある行動をしている。飼い主は柴犬のトントン(登登)を施設に預ける、施設料金滞納、競売入札を実施、元飼い主情報を聞きつけ現れるという経緯。競売で知れたことから国民から賞賛を浴びている。なかなかやるじゃない。

判決に戻ろう。権利者の知的財産権である意匠権が守られる当然の結果なのだが、なぜか「裁判所やるじゃない」と思ってしまう。半ば私があきらめかけていた司法、とりわけ中国の司法への私の「わずかばかりの信頼」が回復した。

 なお、中国の裁判制度について同志社法学ハンさんの論文が興味深い。行政権が強すぎる国家において、司法がどのような立ち位置なのか、いかに改革途上であるか書かれておりためになる。

イタリアRIVA社のデザインが秀逸

中国の陸風X7の特徴
どれどれ、どれだけ模倣してるのよ。例えば、ロゴ。うん、「LAND WIND」そのものは悪くない。けれど、配置が絶望的だ。

次にフェンダーあたり。空気口、ヴェントの部分やサイドのドアの造形、フロントからリアにかけて狭まっていくガラス部分は、似ているどころではない。自らの作品に昇華しようという気概は全く感じられない。ものづくりにたずさわる者としての、矜持は無いのだろうか。それとも彼らにそれを求めてはいけないのか。

レンジローバーイヴォークはどうなのか
では、レンジローバーイヴォークはどうなのか。オリジナル、なのか?JLR社そしてオーナーには申し訳ないが私にとってはランドもレンジも紛らわしい。そして、ランドローバーが第二次世界大戦後、ジープをヒントに民生用として商品化された経緯を考えると、そもそもどうなのだろうと考えてしまう。ちなみに我が国も過去ジープを鹵獲してリバースエンジニアリングしていた。戦争は、かくも無残で、権利は蹂躙されるものか。

話がだいぶずれた。イヴォークに戻そう。歴史を見ると、イタリアのRiva社のスピードボートにインスピレーションを得ている。サイトで公言してる。

※参考、レンジローバー歴史

なるほど、金属の感じはインスパイアされたのだろう。特にガラス部分、フロントからリアにかけては、Riva社のOPENモデルのそれに似ている。但しこれは、「盗ん」だのだと理解している。カテゴリーもちがうし。スピードボートの本質のみを抽出したのだろう。Riva社の卓越した、圧倒的なデザインを、自らのものにした。まさに、ピカソの言葉「Good artists copy, great artists steal.」がしっくりくる。

 JLRといえども、もとはジープのアレだったわけだし、もはや株主はインドのタタ、中国国内で生産、受益者である消費者も中国の富裕層。消費者誤認など起こりえず、市場経済に行く末を任せてみても良いのではなどと無責任に思う。

 いずれにしても、素人の私の雑感はともあれ、この判例を通じてイタリアのRiva社のサイトまでたどり着けたこと、ヨットを知りえたのは収穫だ。とにかく美しい。

※参考 Riva社

「盗む」と「模倣」


盗むとマネ。文字にしてスッキリした。ゼロからイチへと、イチを模倣したイチのようなものでは、比較になるわけが無い。ゼロからイチへの過程で、別のアイデアを取り込む、インスパイアされるのはオッケー。でも、イチをトレースしてはいかんでしょ。違和感という感情はないのかね。

さて関係ないけど、はっと、思い出したのだが、
「コレジャナイロボ」。

※参考、コレジャナイロボ。

コレはコレで、コレだと思う。
盗んでもないし、マネしてもない。
ザブングルにも見えなくもないし、ガンダムとも言えない。
偽物が本物に、嘘が本当になったような。
いずれにしても、だ。
私はこのオリジナルのロボを尊敬している。

私はデザイナーでも文筆家でもない。
クリエイティブなんて程遠い、
ただの

「お金に関する仕事をしている人」

である。
CFOとして、好きじゃないけど、
できる、向いてるから能動的にやってる。
私からすればコピー、コピペは窃盗、犯罪だ。
分かり易い組み合わせもアウト。

マーケットインの考え方は止めて、
創りたいものを創る、プロダクトアウトで良いのに。

プロダクトはその時代に生きた制作者の証だと思う。

うまく「盗んで」いきたいものである。