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トレランって実際のところどうよ?(トレランがメジャースポーツにならないことについての個人的な考察)


「トレランをやっている」と言うと

トレラン人気が高まっていると言われて久しい。

でも、僕の周りで流行っているかと言われたら、そうではないと言わざるを得ない。

というか、全然流行ってない。

僕の周りの人たちは、同じスポーツをするにしても、フットサルだったり、水泳だったり、走ってもロードランだったり、皆トレラン以外のことをしている。

そして、僕がトレランにハマっていると言うと、皆一様に「すごいねー」と言ってくれる。

ただし、その表情は微妙なものだ。

「(そんな辛いことを進んでやるなんて)すごいねー(私は絶対やらないけど)」とか、「(この人は自分が大変なスポーツをやってるってアピールして褒められたいんだな、じゃあ一応褒めとくか)すごいねー」と思ってるように見えてしまう。

これは僕がヒネくれているのが原因でもあるけど(笑)でもそれだけでもないような気もしている。

つまり、トレランのことを『山を走るスポーツ』というくらいは理解しているけど、実際どんな感じなのかはよくわからなくて、山の中で何かとんでもない苦行をしている変わった人→とりあえずすごいと言っておこうという思考になっているように感じる。

要するに、理解されていないのだ。

トレラン人気は本当に高まっているのか?

僕の実感では、確かに10年前に比べたら格段に競技人口は増えたと思うけど、まだまだマイナースポーツの域を出ないというのが実際のところじゃないかなと感じている。

僕がトレランをやっていると言って、「自分もやりたい」と言われたことは今まで2回しかない。

ただしそのどちらも職場の後輩で、本当に彼らがトレランをやりたいと思っていたかどうかは定かではない(単純に僕と一緒に何かをしたかったか、あるいは先輩である僕に合わせていただけかもしれない)。

個人的にはトレランは魅力あふれるスポーツなのだが、その魅力についてはあまり多くの人に理解されているとは言えないと感じている。

そこで、トレランがイマイチメジャーにならない理由について、自分なりに考えてみた。

情報が少ない

ロードランはシューズさえあればすぐに始められるのに対して、トレランはどうやって始めたらいいのかわからないという人が多いと思う。

僕の場合は、元々ロードを走っていたこともあり、ロードとトレラン両方やってる人のブログなんかを参考にした。
近所に気軽に走れる里山があったことで比較的始めやすい環境だったことも大きい。

今はちょっとググればそういった情報はすぐ出てくるし、入門本も結構出ているけども、ロードよりも情報量は圧倒的に少ないと感じる。トレランの雑誌や入門書は大きい本屋さんでないと置いてない(それでもここ数年で大分取り扱いが増えたようにも思うが)。

また、ロードのマラソンは良くTV等メディアでも取り上げられるけど、トレランがTVに出ることはほぼない(NHKのグレートレースくらいか)。

数年前に比べ、情報にアクセスできる機会は増えているけど、まだまだと言ったところだろう。

お金がかかる…

コスト的な意味でも敷居が高い。

トレランに必要なものをざっと数えただけでも、トレラン用シューズ(ロードシューズでもできなくはないがある程度の経験が必要)、ザック、ボトル、ファーストエイドキット、雨具、防寒着、補給食など用意するものが多い!しかも、同じギアでも実に様々な種類の物があり、どれを選んでいいか最初はわからない。

トレランは要は登山なのでこれらの装備は必須なのだが、元から登山をやってた人はともかく、これだけの物を揃えないといけないと言われると躊躇う人は多いだろう。特にロードランメインの人からすると、抵抗感は大きいのではないだろうか。

スタート時のコストの高さは、トレランの敷居を高くしている大きな要因だと思う(ゴルフとか自転車等に比べれば圧倒的に安いけども、ロードランに比べればかなり高い)。

山のスキル

前項とも関連するのだが、トレランは登山の一形態。

ということは、山特有のスキルを学ばなければいけない。

道に迷ったらどうするか、ビバークの技術、登山計画の提出、エスケープルートの確保、動物や害虫対策など…考えなければいけないことは多い。

元々登山をやってる人なら大丈夫だろうけど、ロードランから入った人はここに戸惑うことは多い(僕は始めたての頃、「山をナメるな!」とか登山者に言われるんじゃないかとビビっていた(^^;))。

また、トレランでは登山に比べて装備を削ることが多いので、ギアの選定も難しい(重いと走れないからね)。持っていける容量が少ないため、厳選しなければならないのだ。必要な物を持ちつつ軽量化しなければならず、それには知識と経験が必要。その意味では登山よりも難易度が高いと言えると思う。

登山よりも体力が必要

個々の力量にもよるが、一般的にトレランの方が登山よりも長い距離を移動することが多い。

登山なら一泊二日のルートでも、トレランだと1日で終わる場合もよくある(そこが魅力でもあるのだが)。

そうなると、当然ながらそのための体力(走力)が必要。

また、エネルギー補給のための行動食も多く持参しなければならない。

体力面でも、登山よりハードルが高いのだ。

新参者の哀しさ

それに加え、山でのマナーの問題がある。

ハイカーとトレイルランナーのトラブルについては、ここでは詳しく触れないけども、簡単に言えばハイカーとどう共存していくかということだ。

僕自身はハイカーとトラブルになったことはないけども、“この人はきっとトレイルランナーをよく思ってないんだろうな”と感じるハイカーには時々出会う。

必ず挨拶する、すれ違いや追い抜く時は必ず歩く、といったマナーを守らなければならない。

それもまた、新しくトレランを始める人にとっては戸惑う原因となるだろう。

マナーに関してはデリケートな問題も多分に含んでいて、僕自身はかなり気を遣ってハイカーに接しているつもりではあるが、なぜここまで気を遣わなければならないのか?と思うことも正直に言うとある(あくまで個人的な意見です)。

もちろん山でのマナーを守ることはハイカーだろうがランナーだろうが当たり前のことなのだが、トレイルランナーは山では新参者で、あまり理解されていないが故に、余計に気を遣わなければならないという部分はあると感じている(なかなか言いづらいことではあるけども)。

時間がかかる

ロードのフルマラソンだと、遅くても5,6時間くらいで完走できる。遅い人でも1キロにつき6〜8分程度で進める。

トレランは山を走る=標高差があるため、キツい登りでは1キロ進むのに20分くらいかかることも珍しくない。つまり、なかなか進んでいかない。
トレランのタイムは距離だけでは全くわからなくて、標高差を加味して考えなくてはいけない。

平地の10キロだと速い人だと40分弱で走れてしまうが、トレランではトップランナーでも2時間近くかかるようなコースもある。

それに加えて、トレランの大会は距離が長い。
100マイル=160㎞が最高峰とされている(もっと長いレースもあるが)。
40㎞くらいだとショートレースだ(笑)

また、走っている時間自体も長いのだが、よほど
近くに住んでいる場合を除いて、大抵の場合は山に行くための移動時間が加わる。
山に行くまで往復4時間かかるといったことも珍しくない。

走っている時間+山に行くまでの移動時間を合計すると、10時間以上かかることはザラである(^^;;(それでも、移動スピードが早いので同じルートなら登山よりも時間はかからないが)。

これでは、時間がふんだんにある人はいいけども、仕事や子育て等で時間があまり取れない人はなかなか始められないだろう。

僕の場合、小さな子供がいるので、家族との兼ね合いという部分はとても気を遣ってます(^^;;(このことについてはまた別途書いてみたいと思う)。

ロードランのように、思い立ったらサクッとできたらいいよなーと思うけど、よほど山の近くに住んでいる場合でない限り、難しい。

で、結局どうなの?

何だかネガティブなことばかり書いてしまったが、これらは日常的に自分が感じていること。

このあたりが、トレランがイマイチ流行らない原因なのかなーと個人的には思ってます。

まあ、すごく流行って欲しいと思っているかというと実はそうでもないんだけど(笑)

ただ、トレランいいよ!楽しいよ!というような記事は比較的良く見かけるけど、ネガティブなことについてはあまり見かけないので、あえて日頃から感じていることを書いてみました。

まとめると、体力が必要なことに加え、登山とランニングそれぞれのスキルや装備を身につける必要もあり、かつ新しいスポーツであるが故の難しさもあるため、結果的にいくつものハードルができてしまっていることが敷居が高くなっている原因なのかなと感じました。


…で、お前はネガティブなことばかり書いておきながら、それでもトレランをやるのか!?と聞かれたら、はいその通りです(^^;)

ネガティブなことも多々あるんだけど、自分にとってはそれを上回る良いことがあるんです。

また、逆に言えば上記のハードルを除去もしくは軽減することができれば、競技人口は増えていくんじゃないかなとも思っています。


次回は、一般論ではない、自分が感じているトレランの魅力について書いてみたいと思います。

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