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将来の夢は、少年になること。

「おとなの味」というものがある。

まっさきに思いうかぶのはビール、つづけてコーヒー、抹茶など…あれ?飲みものばかりだな。ええっと、食べものならセロリ、ゴーヤ、サンマのはらわた、とかかなあ。

こうして挙げてみると、味のなかでも「苦味」はこどもにとって受けいれがたい味の代表だ。そして、なんだか知らないが、おとなになっていくにつれ、次第にこの苦味たちの「とりこ」になってくる。

たとえば20代30代になっても、苦い食べものがきらい、などと言っていると「舌がおこちゃまね」なんて、からかわれたりもする。

わたしがブラックコーヒーを当たり前に飲めるようになったのは実に34歳くらいから。それまでは、たとえコーヒーカップ1杯分でさえ飲み切るのに必死だった。ビールも同じ。ここ2〜3年でやっとジョッキ一杯は付き合えるようになった。

こどものころは、学校の先生なんて優しければ優しいほどよかった。
けれど、おとなになると、ただ優しいだけの上司はちょっとたよりなく思ったりする。「たまーに叱ってくれるくらいがちょうどいい」なんて、人間関係でも相手にアクセントを求めたりして。

やっぱり、おとなになるなら「おとなの味」を覚えていきたい。何歳になっても、自分のなかの「かっこいいおとな像」は苦い飲みものを飲んでいるかもしれない。

まだおとなとこどもの境目にいた時代、とくに20代のころは、「かっこいいおとな像」にあこがれて生きていた。

でも25歳のころ、ひとつ上の先輩に将来の夢を聞いたら「おれの夢?そうだなあ、少年になることかな」と答えをもらったことがあった。

いつまでも童心を忘れないおとなでいたい、ってことらしかったけど、そのセリフ、なんだかおとなだと思ったなあ。

少年のように無邪気にわらって、おとなの味を楽しんで生きる。

うーん、やっぱりそれ「かっこいいおとな像」だよ。
そういうおとなになりたいよ。






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