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ことばの糸。
書けないときは、パソコンを前にして2時間くらい何もすすまない。
ふと、これになんの意味があるんだろうと思うときもある。
考えをめぐらせ、思考を文字として紡ぐ。
「ことばを紡ぐ」とはよくいったものだ。
ことばの糸と糸をより合わせて、文章を編む。
筆がすすむときは、まさにこの感覚だ。
「頭がこんがらがる」ということばがある。
イラストなどでは、黒い糸がゴチャゴチャとしているかたまり。
「筆がすすむ」とは、この黒い糸のかたまりから「ツー」と1本、まさに「糸口」が見つかる瞬間。そして、それの糸を引っ張ると、かたまりに引っかかることなく、スラスラとほどけていく。
ほどけたことばの糸を、手際よく編みこみ、文章として織りなしていく。
はずれなかった知恵の輪を解いたような達成感。
書きおわると、まっ黒な糸は思考から消え失せ、爽快感のある空っぽが残る。
月並みだけど、自分という人生に少しでも価値を見いだす瞬間。
ああそうか、だから、書くのだった。
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