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その立ち姿にちゃんと感銘を受けております。

道にひたすら立つという仕事。

本当におそれいる。たとえば、交通整理で手旗をふっている方や、飲食店の前で「19時までビール半額!」など手持ちの案内板をもっている方などが思い浮かぶ。

とくに、入り口の前に立つ警備員の方など、あまりからだの動きも少ない現場をお見かけすると、どのくらいのペースで交代しているのかな…といつもかんがえる。

今日で山口県への出張が終わった。
飛行機で秋田県へ帰る途中のことだった。

山口⇔秋田間は、直通便がないので、羽田空港で乗り継ぎをする。そして、羽田空港の第2ターミナルの中心には、おおきなエスカレーターがある。

そのおおきなエスカレーターの入り口に、ひとりの婦警さんが手持ちのプラカードを持って凛と立っていた。プラカードには「コロナウイルス感染対策を」と書かれている。

婦警さんは、右手でプラカードを顔の横に掲げ、左腕はくの字に曲げて腰の後ろへまわしていた。マスクをして、キリッとした顔立ち。

均整の取れたスタイルで背筋を伸ばし、たったひとりでひたすら毅然と立っている。ととのった警察の制服とあいまって、東京の玄関口である空港においてまさに「絵になる」という立ち姿だった。

その姿とプラカードを拝見し、あらためてコロナ対策に身が引き締まったが、同時に「これは、そうとう大変な仕事だぞ」とも思った。

テレビのニュースで、新宿や渋谷では区の職員やおまわりさんが、プラカードや拡声器を持って声がけにまわっている、というのは知っていた。

しかし婦警さんは、ひたすら立っているだけだ。しかも、プラカードを持ち上げながら微動だにせず。「これは生身の人間がやらなくてはならないのか?」と疑問に思うくらい、身動きひとつしない。

どれだけ時間の経つのがおそく感じるだろう。それこそ、何時間くらいで交代しているんだろう。まさか1日中じゃないよな。立っているあいだ、なにをかんがえているのだろう。おつらいよね。話しかけたら、すこしは息抜きと思ってもらえるかな…。

勝手に、さまざまな心配をするわたしを乗せて、エレベーターは進んでいった。

ご本人が「ふだんの業務より楽でいいや…!」とよろこんで従事しているのであればなによりだが、もしそうでないのであれば「ただずっと立つだけ」の業務は、そうとうに厳しいと思う。

コロナ感染者が増えると、報道では医療従事者や飲食・サービス・イベント業などが打撃を受けている描写が多い。

しかし、実際はこの婦警さんのような業務だって、コロナが蔓延しなければ必要ないわけだ。おまわりさんにだって通常業務があるし、もしかしたら婦警さんは1日中立ち続けて、そのほかの業務を時間外で何時間も処理するのかもしれない。

保健所や、行政もそうだ。残業しながら通常業務をこなしていた業種が、コロナ対策も上乗せされた場合、その業務量たるやどれほどのものか。

コロナによって仕事を奪われてしまっている方も多いが、反面、コロナによって過重労働を強いられている方々もたくさんいるよね。

婦警さん、そのお仕事がむだにならないよう、ちゃんと立ち姿を記憶に刻み、これからも感染に気をつけて生きていくよ。

ほんとうに、みんなで協力してさ、このコロナ。はやく終わらせなきゃいけないね。



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