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「たばこ休憩」とはなんだったのか。

むかしまだ「分煙」なんて概念もない20年前、職場の休憩室はたばこのケムリで満ち満ちていたんだよ。

当時は、回転すし屋ではたらいていた。
その店では板前からパートのおばちゃんはもちろん、バイトの学生までスッパスパ吸っていてさ。

ノンスモーカーのわれわれは常にケムリにさらされて「副流煙」なるものをバッスバス吸わされていたけど、それがあたり前の時代だったんだよねー。

そんなあの時代にはふしぎな制度があって、たばこを吸う人は1日3回10分くらいの「たばこ休憩」が黙認されていた。

「あーつかれた、もうダメだ、ちょっと一服さして」と、持ち場をはなれて裏でたばこをプカー。しばらく帰ってこない。

もちろん、ノンスモーカーのわれわれは昼休みしか休憩が与えられていないよ。

だから、おなじように持ち場を離れて裏で10分もポケーとしていれば、通りかかった上司から「なにさぼってるんだ」と怒られるのよ。

しかし、なぜだかそこでたばこを吸っていれば「おお、おまえも休憩か」と上司もいっしょにたばこを吸って成立してしまう。

喫煙者が圧倒的におおかった時代。
喫煙者はノンスモーカーのわれわれより、まいにち明らかにその30分間ぶんをはたらいていなかったと思うなあ。

数年の時が経つと、そんな風潮にたいして「ノンスモーカーのわれわれにもあたり前に小休憩をくれ」との異論も増え、平等に小休憩が与えられる時代が少しずつやってきた。

しかし、まだまだスマホもなかった時代。
ノンスモーカーのわれわれに10分程度の空き時間ができても、ひたすらヒマを持て余してたっけ。

けっきょく、おおくのノンスモーカーは、いちおう与えられた小休憩をたいして使わずに、1日を終えていたと思うけど。

しかしあれからさらに時が経ち、いまとなってはスマホという暇つぶしのアイテムが普及したので、ノンスモーカーのわれわれも、与えられた小休憩を満喫できるようになった。

たばこを吸う場所を限定する「分煙」の文化も進み、「副流煙」を吸い込む機会もほとんどなくなったね。

とはいっても、いまのわたしの会社がそうなだけで、いまだにひと目もはばからず、ノンスモーカーをさしおいて「ちょっと一服」と持ち場をはなれる大人であふれる職場はあるだろうな。

一方的な「たばこ休憩」を取ることで、ノンスモーカーに「不平等感」を与えているのでは、本当の「分煙」とはいえないよね。

「分煙」の概念は、吸う場所を変え、ケムリをひとっところにあつめてそれでオッケーじゃない。

喫煙者とノンスモーカーの両者が、ここちよく平等に生活できることが最大の目的だ。

吸う人も吸わない人も気持ちよくはたらける「分煙」を実現している会社が、これからもどんどん増えるといいね。

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しばいぬたろう
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