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さみしくもあり、ワクワクもしちゃう「夏の夕暮れ」の不思議。
1年で4つある夕方のなかでも、とりわけ「夏の夕暮れ」は特別だ。
たった2時間前の景色とは打って変わって、抜けるような空に夕焼けの赤が広がり、ひぐらしが鳴く空間をひとりで帰路につく。
ふと、そんな世界に存在している自分を、さみしいと感じる瞬間がある。
夕暮れというのは、黄昏(たそがれ)ともいう。
「たそがれる」ということばがあるように、夕暮れはまるで人生の終焉のかけらのようだ。
しかし「夏の夕暮れ」にはもうひとつの顔がある。
さきほどのしんみりした感傷とは打って変わって、心が躍って落ち着かないときもある。
そう、学生のころの「夏の夕暮れ」は、さみしさよりもワクワクにあふれていた。
それは、花火大会や、キャンプ、肝試しなど、夏の夜遊びに向かう前、友人と集まる時間は決まって「夕方」だった。
これからはじまるたのしいたのしいイベントへの期待に、胸をふくらませていた時間だ。
「夏の夕暮れ」は、さまざまな青春の思い出の開始地点でもあった。
だからおとなになったいまでも、なんだかいまから楽しいことでも起こりそうな、不思議な感覚で胸がいっぱいになる。
「夏の夕暮れ」は、さみしさもワクワクも兼ね備えた、やっぱり特別な「夕方」なんだと思う。
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