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「Aくんの宿題」

小学生のころ、近所に美形で面白いにーちゃんがいた。

にーちゃんはそのころ中学生で、小学生のオレからみてもハンサムなにーちゃんだった。
んで、そのにーちゃんには弟がひとりいた。
弟とわたしは同級生だったからよく遊んでいた。

遊んでいると、同級生がそのにーちゃんに「なんか面白い話して」っていつも言う。

そのたびに、そのにーちゃんは待ってましたとばかりに面白い話をしてくれた。
そのなかのひとつの話。

「Aくんの宿題」
Aくんはいつも宿題を忘れてしまう子でした。
今日もAくんは宿題を忘れて先生に怒られています。

「A、また宿題を忘れたのか!今日は絶対忘れるんじゃないぞ!」

Aくんは、今日こそ宿題をやってこようと決意しました。

Aくんは家に帰ってさっそく宿題に取りかかりました。
しかし内容がまったく分かりません。

Aくんはお父さんに聞いてみました。

「お父さん、宿題が分からないんだけど・・・」

するとお父さんは新聞を読んでいて、いきおいよく、

「うるせえ!」

と言いました。

そこでAくんはお姉ちゃんに聞いてみることにしました。

「お姉ちゃん、宿題が分からないんだけど・・・」

しかしお姉ちゃんはテレビのクイズ番組を見ながら、きどって、

「あたぼうよ」

と言っていました。

次に、Aくんはお兄ちゃんに聞いてみることにしました。

「お兄ちゃん、宿題が分からないんだけど・・・」

お兄ちゃんは友達と電話をしながら、ドスのきいた声で、

「バイクで行くぜ!」

と言っていました。

宿題ができたAくんは、次の日学校へ行きました。
宿題をあつめる時間になって先生がAくんに言いました。

「A、今日は宿題やってきたのか!」

すると、Aくんはいきおいよく、

「うるせえ!」

と答えました。

先生は怒って、

「なんだ、その口のきき方は!先生に向かってそんな口のきき方をしていいと思ってるのか!」

と言いました。

するとAくんは、きどって、

「あたぼうよ」

と答えました。

ますます先生は怒りました。

「なんだって!そんなことを言うなら、放課後職員室に来い!」

するとAくんはドスのきいた声で、

「バイクで行くぜ」

と答えました。


おわり


当時、この話を聞いてキャッキャと笑って喜んだもんだ。
あの美形のにーちゃんは今頃どこで何をしているんだろうなあ・・・。



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