私が編集者になるまで その2 IT転職編

前回は、新卒の話が中心だったら、今回はそこを転職したときの話。
今思えば、最初の会社はすごーく居心地がよかった(変な上司はいたけど)。ぬるま湯につかったような感じ。ただ、今だったらおそらくセクハラ?にあたるようなこともよく言われた。
「結婚まだ?」とか「彼氏は?」とか。「大卒の人にこんなお茶くみの仕事させて申し訳ないね」とかも。秘書の仕事って大変なんだけど、わかってもらえないんだなー、と悲しくなった瞬間。
「女性の最大の幸せは、職場結婚して、社宅に住んで、子ども育てること」と平気で言ってのける人もいて、正直のけぞった。生意気にも「この会社の人と結婚したいと思わない、全然」と思っていたからだ。
「営業の出来不出来と女を口説く力は比例する」と力説している人もいた。「だから、うちの営業は弱いんだなー」なんて思いながら聞いていた(微笑みながら)。

だからあるとき、「このままだと、頭が腐ってしまう・・・」などと考えるようになった。「もっと、、何かがしたい・・・」と水の渇きをおぼえた人のような、「し、刺激を・・・」と麻薬中毒者のような(もちろんやったことないけど)枯渇感、焦燥感でもあった。そのころ、同じような仕事をやっていた先輩が辞めることもわかっていたので、その雑用をすべて押しつけられる!と焦っていたのもたしかだ。

で、次にいったのは、小さなITベンチャーの会社。ほんとは次の秘書の仕事をするまでの腰掛のつもりだった。当時は、女性サイトの黎明期。その会社でも、女性サイトをはじめたところだったので、掲示板の管理、メルマガ作成、コンテンツの編集、作成などを担当した。
そして、これが、楽しかった! はじめて書くことの楽しさを知ったのはこのときかもしれない。掲示板や、メルマガの感想などから反応を得られるのもまた楽しかった。いかに相手に響く言葉を紡ぐか。文末を「。」で止めるか、「!」で締めくくるかで、文章の表情が大きく変わるし、相手に与える印象も大きく変わることも知った。向こう側にいる読者の方々の反応にも一喜一憂した。
これは、秘書の仕事より楽しい。自分に向いているかも、と気づいてしまった瞬間でもあった。

と、同時に「もっと書けるようになりたい!」と思うようになったのだ。これまで、何の仕事がやりたい、と思いついたことがなかった私の、はじめてのひらめきだ。

で、初めて「ライター養成講座」なるものに通うことにした。見城徹さん、花田さん、ライターの小松さん、女性誌の編集長さんなどの話におおいに刺激をもらった。けど、「自分がなりたいか」というと全然そういう思いはなかった。当時は、「文章をゼロから書くなんて。文字数決まっているなんて。さらには閉め切りまであるなんて。そんなめんどくさいことを仕事にしたくなーい」と思っていたから。だから、講座にはほぼ皆勤で通ったけど、課題はあまり出していなかった。不真面目な生徒で、すみません。
それが何年かののちに、出版社に入って、さらには自分で文章を書く仕事を選んだのだから、本当に人生、なにがどう転ぶかわからない。

というわけで、ここで教わったのは、
新しいことの楽しさ、文章を書くことの楽しさ、そして双方向コミュニケーションの面白さ。

このあと、IT企業には2社行きました。それは、もっと大きいところでやってみたいという思いが強くなったから。
で、そこを経て思ったのは、「ウェブだと、記事も斜め読みされちゃうよなー。もっとちゃんと文章つくりたいな」という漠然とした思いだった。そして、次回はついに出版社への道にたどり着く、はず。

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