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「カメラロールという自室」2022年5月4日の日記

・4月終わりの日記で岡山の前川建築を回ったことを書いたので、この日は上野へ出掛けて、東京都美術館に行く前に、東京文化会館と国立西洋美術館に立ち寄った。


・東京文化会館の屋根。天神山文化プラザの入口のファサードの屋根っぽいでしょ。
・斜めに剃り立てることで、汚れがつきにくくなりコンクリートが長持ちする。


・こちらが国立西洋美術館の階段。
・天神山文化プラザの階段ぽいでしょ。


・4/22から都美でスコットランド国立美術館展が始まっていたので行きました。

・レノルズやコンスタブルなどなど、まだまだたくさん、ブリテンを代表する画家たちの作品が集まっている。

・大型の作品が多くて迫力ある一方、素描など小さい作品も多く来てて、全体の作品数が93点と多く(前回のフェルメール展は76点)、作品ごとの画家のキャプションも書かれてて、目に入ってくる文字数も多いので、なかなか集中力を要する構成になっている。

・わたしは2回に分けて観に行った。1回目は1階の(都美はスタート地点が地下階で、地下→1階→2階と段々上がっていく順路になっている)半分くらいまでで集中力が切れてしまった。

・ただ作品はどれも素晴らしくて、最後の滝の作品が一番好きかも。

・風景画家として有名なコンスタブルは、以前、丸の内の三菱一号館美術館でコンスタブル展をやっていたときに名前を知った。
・木や枝にあたる陽の光の反射を白い絵の具で表すのが特徴的で、今回の都美の作品でもそれを存分に感じることができた。


・今回の展覧会のポスターにもなっている作品は、人物画を得意としていたレノルズの作品。3姉妹を描いた作品らしいけれど、主題は明らかに三美神を意識している。
・姉妹たちの背景には、おそらく現場にはなかったと思われる古代ローマ風の石の柱が描かれていて、アカデミックさや姉妹たちの教養の高さを示している(と、キャプションに書かれていた記憶がある)。

・今でいうところの”匂わせ”かもしれない。
・もっぱら、今言う”匂わせ”は、例えば写真に写っているのは女性1人だけど、画角が男性の身長の高さのような高い視点からだったり、あるいは、何気ない写真の中に同行人の気配が感じられたり、恋愛の文脈で使われることが多いけれど、写真がない当時の匂わせは、”モチーフ”でその人物の気高さや教養深さを示したり、清純さを示したりした。


・いつものように、何枚か気に入った作品のポストカードを買った。


・夜は、美術館のボランタリーな活動として、自分が立ち上げた「野良アート鑑賞会」をオンライン開催して、30人近い方が集まってくれた。

・何をするかというと、要は、「みんなの写真アルバムの中のいらない写真見せてください」という企画だ。
・ただ今回はいらない写真、ではなくもう少し具体的に、「つい立ち止まってしまったもの、気になるな、面白いと思って写真に撮ったもの」を、参加者の方々から事前に募集した。


・例えばわたしがこの回で出したのは、過去の自分が撮ったこんな写真。

・「いらない写真」と言ってしまって差し支えないかこれはもう。


・こういう、なんか気になって自分が撮ってしまった写真をみんなでみよう、と言う会をやった。

・参加者の皆さんの写真のバリエーションが幅広くて面白かった。事前に「写真大喜利がやりたいわけじゃないので!」と言うことは割としっかりアピールしていて、別に「ほっほ、わらわを写真で笑わせてみるがいいわい」ということがやりたいわけじゃなくて、単純に、他の人の写真アルバムを埋める興味を覗いてみたかった。


・面白い看板だったり、自然豊かで感動したツリーハウスの写真だったり、動物のナイスタイミングな写真だったり、集まった写真の枚数はかなり多かったけど、その中で特にジャンルの被りが起こらなかったのがすごい。


・他人が持っている興味というのは、SNSで繋がってでもいないとなかなか分かりづらい。


・例えば、相手がワンルームに1人暮らししているとして、その人の部屋に行けば、部屋のレイアウトや置いてるものから、その人の興味や趣味がよくわかる。
・部屋、特にワンルームとか自室とか、その人の部屋の空間というのは、その人自身のパーソナリティの拡張空間になっていることが多い。その人の興味や趣味が目に見える形で存在している。


・ケータイのカメラロールも同じくらいその人の興味や趣味を反映するものだと思うけど、ケータイのデータなんて内的なものの代表格で、他人のものを覗き見る機会なんて滅多にないので、もしかしたらケータイのカメラロールは「よく友達が遊びにくる自室」よりも、その人のパーソナリティが色濃く見えるものかもしれない。

・今回の活動では、いろいろな面白い写真を見たという楽しさの他に、そういう普段は見られない、その人自身のバックヤードの一部を覗けた気がした楽しさもあった。

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