柴 那典
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宇多田ヒカル「Electricity」の神秘
宇多田ヒカルの「Electricity」がすごい。
4月10日にリリースされたベスト盤『SCIENCE FICTION』に収録された新曲。何度聴いても興奮する。
リズムとフロウの快楽性がここ最近の宇多田ヒカルの曲の特徴なんだけど、この曲は飛び抜けてる感じがする。そして歌詞もすごい。超越的な何かを感じる。
いったいどういうことなんだ、というのを書いておこうかなと思う。
まず一聴して驚いたのが
テイラー・スウィフトと「偉大なるアメリカの終わり」
柳瀬さんが書いていたテイラー・スウィフトの話。とてもおもしろかった。
僕もいろんなところでテイラー・スウィフトについて書いてきたけど、特に日本のマスメディアでは「経済効果!」みたいな取り上げ方ばかりだよなあと思っていた。音楽そのもの、曲そのものがフックになるよりも、現象ばかりが取り沙汰されているというか。
https://newspicks.com/news/9519009/
それはそれで非
「7」の年に次のディケイドを決定づけるファクターが用意される説
【音楽未来会議~"これまで"と"これから"の10年~】というトークイベントシリーズがスタートします。
「Studio ENTRE」の山口哲一さんと株式会社LABの脇田敬さんと3人で、カルチャー×ビジネスの視点から音楽のこれからを語るというイベント。
第1回は「ヒットとブレイクの10年」。2月11日(日)15時〜17時予定です。会場・オンラインともにチケット発売中で、詳細はこちら。
■2017
小さくて弱いもの、疎外されたもの、傷ついたものの側に立つスピッツの歌について
スピッツの『ひみつスタジオ』がすごくいい。
これまでのスピッツのアルバムの中で一番好きかもしれない。何度か聴き返して、どういうところが好きなのか改めてわかってきた。
ストリーミングチャートでヒットして新たな代表曲になりつつある「美しい鰭」とか、リード曲「ときめきpart1」とか、タイアップ曲も沢山入っているけれど、たぶん、アルバムの中で最も重要な楽曲は「オバケのロックバンド」。草野マサムネだけ
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』とビースティ・ボーイズとMTV
今日は映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』について。
日本ではまだ4月28日の公開から1週間経ってないけど、たぶん記録的なヒットになると思います。初日から3日間で動員127万6千人、興行収益18億4300万円、初登場1位。アメリカ含め全世界では4月5日に公開されてから1ヶ月で興行収入10億ドル突破。マジですごいことになってる。
で、ゴールデンウィークの満員の映画館で観てきました。初っ
ハッピー・ハードコア漫才としてのヨネダ2000「餅つき」
■リズムキープ力の異常な高さ
今年も『M-1グランプリ』面白かった!
なんだかんだで忙しくて直後に感想書けなくてもうすっかり時間が経ってしまったんだけど、それでもブログに書いておこう。ヨネダ2000の「餅つき」のネタがBPM160であることの“意味”について。
抜群に面白かったです。僕は劇場に足を運ぶほどのコアなお笑いファンではないけれど、去年から「すごいのがいる」という噂は伝わってきて。で
春ねむりさんのことについて
まあ、これは書かねばならないよな。なんせ当事者なので。
沈黙していたほうが波風立たないのはわかっているけれど、自分のスタンスを表明しておかないのはよくないなと思うのでね。そして僕にとってブログというのはそういうことを文字にして残しておく場所でもあるので。
というわけで、何があったのか、僕がどう思っているのかを、つらつらと書いていきます。
8月28日に、宇野維正さんとのトークイベントをやりまし
「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきた
ブライアン・イーノの展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきました。
場所は京都中央信用金庫 旧厚生センター。京都駅から徒歩数分の場所で、建物一棟をまるまる使ったインスタレーションになっている。
なかなかすごい体験だった。出張の合間だったので1時間半くらいしか居られなかったのだけれど、これ、後の予定とか全くないときに行ったほうがいいです。
建物は3階建てで、「THE
cakesサービス終了と、この先の不安
cakesがサービスを終了する。
正直、かなり寂しい思いはありますよ。もちろんメディアの世界は諸行無常であって、全ての場所やサービスが永続的に続くわけじゃないことはわかっている。紙と違ってウェブメディアのアーカイブ性が低いということも、わかってはいる。でも、「サービス終了後はすべての記事が閲覧できなくなります」というのは、やっぱり寂しい。
いろいろあったけれど、cakesは書き手として初期から
コーチェラと宇多田ヒカルと88risingと「Asian Pops」の時代の突端
3年ぶりのコーチェラ・フェスティバル。YouTubeで観てました。特にビリー・アイリッシュがヘッドライナーをつとめた2日目は、とても感慨深いものがあった。いろんな意味で時代の転換点が見てとれた。
驚いたのは直前で宇多田ヒカルの出演が決まったこと。しかもメインステージの「88rising's HEAD IN THE CLOUDS FOREVER」への出演。88risingのショーン・ミヤシロから誘
Adoがまふまふから受け取ったバトン、人生の伏線回収
Adoの初のワンマンライブ「喜劇」を観てきました。4月4日、場所はZepp DiverCity TOKYO。
素晴らしかったです。最初の感想は、なんといっても「いる!」ということ。なにせ初のライブ。これまで一世風靡した存在になったのに、顔はもちろん、姿形もメディアには一切公開してこなかったわけで。集まった人には、ようやく「会えた」という感慨も大きかったんじゃないかと思う。
ステージの上には磨り
2021年の10曲(海外編)
続いて海外編の「2021年の10曲」もあげておきます。今年はわりと聴くもの偏った感じがするけど、好みはこんな感じでした。
underscores - Spoiled little brat
Spotifyの「2021年まとめ」を見たら、これが1番聴いた曲でした。カリフォルニアを拠点に活動するunderscoresのデビューアルバム『fishmonger』に収録された曲。アルバム自体もかなり聴いて
2021年の10曲(国内編)
すっかり年末になっちゃいました。すっかり慌ただしい年の瀬。個人的には「年間ベスト」みたいなことはあまりやりたくない性分なのですが、自分の記憶を記録に定着させるという意味でも、今年聴いてハッとした曲を書きとめておこうと思います。
STUTS & 松たか子 with 3exes 「Presence Remix feat. T-Pablow, Daichi Yamamoto, NENE, BIM, K
2021年9月〜11月に聴いてよかったアルバム
ずいぶんとご無沙汰。
『平成のヒット曲』の執筆に籠もったり、その他いろいろの〆切に追われていたもんで、すっかりこっちからは離れていた。でも、聴いてよかった音楽を記録していくのはずっとやらんとなーと思っていたので、おもむろに再開します。また途切れたらヤダなと思うけれど、淡々とやっていきます。
■Self Esteem『Prioritise Pleasure』ぜんぜん前情報も知らずに「Priori
『平成のヒット曲』の「はじめに」
新刊『平成のヒット曲』が、11月17日に発売されました。その「はじめに」と「目次」を、横書きで読みやすいよう少し修正を加えて公開します。
平成とは、どんな時代だったのか――。
本書は、それを30のヒット曲から探る一冊だ。
1989年の美空ひばり「川の流れのように」から、2018年の米津玄師「Lemon」まで。ヒットソングがどのような思いをもとに作られ、それがどんな現象を生み出し、結果と
2021年3月に聴いてよかったアルバム&EP
すっかり4月の半ばになってしまったけど、これは続けるよ。
書かないと忘れてしまう。SNSやニュースサイトばかり見ていると、他者の憤りや苛立ちや虚栄心に胸の内を掴まれて、自分のすきなもの、自分を成り立たせているものを見失ってしまう。わかっちゃいるけどやめられない。
自分の書く文章の、一番大事な読み手は他の誰かじゃなくて3年後、5年後、10年後の自分だ。そのことはずっと覚えておくべきこと。だから繰