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再生の物語が必要だった


おとといは机上に積んである小説から1冊手にとっては2、3頁を読んで戻し、別の作品に代えて数頁読み、また別の作品にといったことを繰り返していたが。
昨日になって角田光代「対岸の彼女」を手放せなくなって読了。
そうさせたのは、勿論この作品の持つ力、質には違いないのだが、いまの私がこのような作品を必要としている状態、心境にあるから。そう言うのが当たっている。

子育てや夫婦関係に疲れ何のために生きているのかと悩んだ小夜子は、何かを変えなければと女社長葵の会社に入る。だが新たなもろもろの困難にぶち当たり、葵との友情も破綻して会社を辞めてしまうのだが。
実は小夜子と葵は同じ高校に通っていた。2人にはそれぞれに辛い日々があった。その日々を振り返り、自分を見つめなおし、もう一度前に進んでいこうと決意するハナシ。

まだ30代の小夜子と葵の奮闘と失意、そして再生の物語は、人生の終盤を意識しはじめたいまの私に必要な物語だった。


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