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【検証】狂気!ハーゲンダッツでプリン!

小鳥遊です。
今回は、以前からずっと気になっていたことを検証します。

私がお菓子作りにハマり始めた頃、こんな記事に出会いました。

概要としては、タイトルの通り『さつまいもと市販のアイスクリームでスイートポテトを作る』というものです。スイートポテトは、蒸かしたさつまいもに卵、砂糖、牛乳や生クリームを混ぜて作られます。この卵、砂糖、牛乳を、アイスクリームで代用しましょう、ということ。なるほどよくできている。

お菓子作りで『代用する』というと、本当に必要な性能を発揮してくれるか、というのが問題になります。特にお菓子の場合は、焼成時の膨らみ方や焼き色の付き方、固まり方なんかに影響が出ます。メレンゲの砂糖は減らしちゃいけない、みたいな話もよく聞きますね。代用問題で最近私の中で話題になっているのは、『上白糖は必ずしもグラニュー糖の代用にはならない』というもの。グラニュー糖の方が焼き色が付きやすく、上白糖の方が優しい甘さになる、という手応えを得ています。

ということは、この『アイスクリームを卵、砂糖、牛乳の代用とする』というのも、限界は一応存在するはずです。ただ、一方で、もちろん分量の問題はありますが、卵と砂糖と牛乳を使うお菓子ならば、その部分をアイスクリームで代用することも可能かもしれないということになります。

さて、ここで私は気になってしまいました。
アイスクリームを溶かして焼いたらプリンになるのでは?

アイスクリームとプリン、材料はほとんど同じなんです。ならば、アイスクリームを溶かすとプリンのアパレイユ(プリン液)になって、それを焼けば美味しいプリンが完成する可能性があるということ。これは検証する価値がありそうです。

ということで、本記事では、プリン液としてアイスクリームを使って、プリンを作ってみます。

材料選び

とは言っても、アイスクリームにも種類があります。フレーバーがあるものがあるというのはもちろんですが、それはさておき(今回はバニラ味を使うと決めてしまっていいでしょう)。簡単に言うと、同じバニラアイスでも、メーカーや商品によって差があるよね、ということです。

市販のアイスには、4種類あります。

  • アイスクリーム

  • アイスミルク

  • ラクトアイス

  • 氷菓

これは、乳成分の量によって分類されています。シャーベットに近いか、濃厚なアイスクリームか、みたいな感覚でいいと思います。

今回は卵と砂糖と牛乳の代用としたいので、水分が多いシャーベット状のものは代用として適切でないでしょう。したがって、アイスクリームに分類されるアイスクリームで試します。

次に、同じアイスクリームでも、卵が入っていないものは代用として適切ではないでしょう。例えば、Lady Bordenは、卵不使用のアイスクリームで有名です。
ということで、今回白羽の矢が立ったアイスクリームはこちら!

代用品としてはある意味で適切で、またある意味で不適切なハーゲンダッツを使うことにしました。
原材料を見ても、乳製品と砂糖と卵黄、バニラ香料が使用されているだけです。これは期待できます。

作り方

作り方はシンプルです。アイスを溶かして、プリンと同じように焼く。それだけです。

実践

ということで、ハーゲンダッツを用意しました。

安売りしてたので助かった…

こちらを溶かしていきます。

軽く火にかけます
全部溶けましたね

ここで気になることが2点。表面にはたくさんの気泡が浮いてきました。これは、アイスクリームの舌触りを滑らかにするための企業努力の賜物です。が、プリンを作るには取り除きたいもの。ここが相容れないポイントですね。
そしてもう1点。鍋底に、固まったアパレイユが少しだけ見られました。これは期待できるのでは?

これを容器に移します。

ハーゲンダッツとプリンカップの容量が同じだった。これは想定されていた使い道…?

最近はプリンを焼くのにアルミホイルを被せるのがマイブームですが、比較のため、半分はアルミホイルを被せないで焼いてみます。

これで140度のオーブンで40分焼いてみます。
結果は如何に…

実験結果

結局、1時間焼きました。その結果がこちらです!

ん…??

色が薄いのは、アルミホイルを被せて焼いたものです。アルミホイルを被せていないものは表面は焼けているように見えますが、アルミホイルを被せたものは焼けていますか?これ?

それよりも、どれもかなり緩いのが気になります。それと、明らかに嵩が減っている…。

アルミホイルを被せなかったものを傾けてみると、まだ中は液体っぽいのがわかります。これは代用できたとは言えないかも…。

中は液体っぽい…

ということで、粗熱をとってからまた見てみましょう。冷めたら食べやすい硬さになっているなんてこともよくありますからね。

ということで、冷えたので食べてみます。

ほぼ液体ですね…
こちらも緩いシチューくらいの固さ…

うん、固まっていないです。アルミホイルを被せなかった方は、スプーンの端のところなんかを見ると一応固まる気配はありそうですが、アルミホイルを被せなかった方は焼く前と殆ど変わりません。
そして甘い!アイスクリームで食べることを想定してチューニングされているし、水分が飛んで濃度が上がっているので、本当に甘いです。甘すぎます!ダメだ!!

結果:
『アイスクリームをそのまま焼いてもプリンにならない!!』


考察

今回の結果を考察します。

  • できたプリン(?)はとにかく甘かった。焼成時に水分が飛んだとはいえ、温度が低いと甘さを感じづらいはずなので、プリンよりもアイスの方が含まれる砂糖の量が多く作られていると考えるのは妥当である。

  • アイスを鍋で溶かしたとき、オーブンで焼成したときなどに、熱が伝わりやすい部分は、アパレイユが少しだけ凝固していた。ハーゲンダッツのアイスクリームも商品である以上、アパレイユが都合よく不均一であるとは考えづらい。不均一なのは熱の入り方だけと見ると、焼き方次第ではプリンを完成させられるかもしれない。可能性は感じられる。

  • プリンが凝固するのは、卵のたんぱく質が加熱により変性するためである。一方、砂糖にはたんぱく質の凝固を阻害する働きがある。アイスがとにかく甘かったことから、アイスクリームをプリンのアパレイユとするには砂糖が多すぎたと考えられる。これは温度で解決できるのか、糖分の濃度を下げないと解決できないのか、調査する必要がある。

結論

今回は、『アイスクリームはプリンのアパレイユの代用になるのか』を検証しました。少なくとも、そのまま代用というわけにはいかないようですね。何かを混ぜるとか、焼き方を変えるとか、何か工夫しないとプリンにはならなさそうです。ただ、可能性は十分に感じられる結果だったと言えるのではないでしょうか。

無事に美味しいプリンを食べるには、たんぱく質について理解を深める必要がありそうですね。

またアイスクリームが安売りしていたら検証してみようと思います。



おまけ

本編で試食しなかったふたつを、再度200度のオーブンで焼いてみました。

残ったふたつ


爆発しました。

ハーゲンダッツが…

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