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浙江省杭州市旅行記

 中国浙江省の省都である杭州市に中国の労働節(5月1日~3日)に訪問しました。杭州はアリババの本社があり、近年は、北京、上海、深センと並び中国テックの最先端と位置付けられる一方、南宋時代の首都、元の時代にイタリアのマルコポーロが「世界で最も美しく華やかな都市」と言っている通り、歴史があり風光明媚な都市として知られています。表紙の写真は、アリババで働く友人のご配慮で、アリババ総本部、西渓園区内で撮影した写真です。

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 杭州と言えば、世界遺産の『西湖』。連休中ということでものすごい人込み、今回、2回目の杭州なので、そんなに深くは観光しませんでした。アリババのJackMa(馬雲)は杭州人ですが、彼は英語が得意で、中学時代西湖を訪れる外国人に英語で案内をすることで英語力を鍛えていました。
 ※馬雲の初期のキャリアは、3回目の挑戦で、杭州師範大学英語学科へ入学し、卒業後、大学講師を7年程勤め、その後1995年に通訳会社を創業、浙江省のプロジェクトで通訳のため米国へ行った時に、インターネットに出会うというもの。

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 杭州とだけあって、モバイル決済の内、目立つのは支付宝(Alipay)。もちろん、微信支付(WeChatPay)も言えば応じてくれるけど、Alipayの存在が目立ちました。思うに、深センは外来人が集まる街であるため、深セン人=テンセントびいきというわけでもないが、杭州は元々地元の人が多いため、馬雲、アリババへの企業愛が半端ではないように思います。

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 杭州の街を散策して驚いたのは、日本料理店の密集度。途中からあまりにも多く見かけることからこうして写真をとっていきました。「おとこめし」等特徴的な名前も。後で、深センに戻ってから浙江省出身の同僚に、「杭州って日本料理屋さん多いよね?」と確認した所、「多い」という回答だったので、自分の錯覚ではないようです。沖縄、京都、上越等日本の地域名を出している料理店、また、日本から輸入している日本産米を使用している店舗もあり、日本食の成熟度を感じました。

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 地下鉄は、もちろん、スマフォのQRコード決済に対応済み。左が深センの地下鉄、右が杭州の地下鉄、深センは微信(WeChatPay)、杭州は支付宝(Alipay)という違い。杭州の地下鉄は、他の主要都市(北京、上海、深セン、広州)と比べ路線が少ない(まだ4~5線程)。現地の友人に聞いた所、杭州は土壌の性質が地下鉄に遭わないらしく、コストがかかるため、なかなか地下鉄の整備が進まないということ。

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 上段の市内の交通バスは、一部電動化されている(BYD)もののまだまだガソリンの自動車も多かった。タクシーの電動化もまだ。エコカーの浸透具合は、深センの方が上だ。下段は、アリババが戦略投資するシェアリング自転車の哈罗单车(HelloBike)。これは、深センでは見かけないもの。このシェアリング自転車は、電動型が実践投入されており、実際乗ってみて快適だった。導入都市を絞り不要な投資を避け、一定以上のAlipayの信用点数がある者はデポジットを当初から不要にしていたり、先行のMobike、Offoの反省点を良く見ている気がする。Offoがほぼ復調が見通せない今、今後は、”Mobike”Vs”HelleoBike”の構図となるか。

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 左は、西湖東の杭州のショッピングエリア、最上階にはWeWorkの看板が見える。杭州の友人も言っていたが、市内中心部の渋滞は本当にひどい。まず、深センみたいに片道三車線等の大きい道路が少ない、きっと歴史のある街なので、斬新的な計画道路の整備は難しいのだろう。また、これに加え自動車を保有している人も多いことがさらに渋滞を招いているということだ。右は、天猫国际のアンテナショップ。天猫国际(TmallGlobal)は、アリババが2014年に開始した越境ECのプラットフォームのこと。保税区を活用することにより、購入時に保税区から搬出することで無駄な関税の支払いを防ぎ、かつ中国政府の越境EC優遇政策により優遇税率が適用されるもの。通常、オンラインでの購入だが、ここにTmallGlobalの商品を展示することによりオンラインでの購買促進に繋げるというもの(つまりここで購入、持ち帰りはできない)。全てQRコード読み込み⇒電子決済、もう定番のパターンだ。

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 最後、中国の地方都市に行ったら博物館巡りは欠かせない。杭州にも様々な博物館があるものの迷った末、市の北側にある「中国京杭運河博物館」へ。中国史にとって欠かすことのできないインフラの整備として、黄河方面の華北と長江方面の華東を、運河で結んだこと(これにより、華東方面の豊かな食糧を冷涼な華北地域に運ぶことが容易になったが、これを推し進めた「隋」は、この運河開通の民衆への負担により短命に終わった)。そして、杭州はこの運河の一番、南の部分に当たるということで、ここにこの博物館があるという理由だ。世界のパナマ運河、スエズ運河、キール運河と比較したり、段階的に中国史にそってどのように運河が整備され、管理されるに至ったかを丁寧に説明しており、行ったかいがあった。

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