座法・臥法3

 平座法
 平座法とは腰のかけ方のことです。正座は日本人には割と馴染みのある座り方ですが、最近では日本人でも生活様式が西洋化していますから、ふだん座る機会のない人も多くなりました。
そこで正しい椅子の腰かけ方を紹介しておきます。椅子は平坦でかたいものに浅く腰かけ、腿が水平になるようにして両足の裏全体を床につけます。
両足の間隔はだいたい肩幅ぐらい。尻は後ろに引き、下腹をつき出すようにして背骨を伸ばし、顎を引いて首の後ろを仲ばします。上体は左右に傾かないようにしてリラックスします。上半身の状態は正座と同じ要領です。
 
 站立法
 両足で立つ立ち方を站立法といいます。
両足を左右に少し開いて平行にし、足先をそろえて立ちます。両肩は後方に引き胸をひろげますがつき出すほどにせず、胸を緩めます。尻を後方に引き、下腹を収めるようにして背骨を下に伸ばします。(含胸抜背)後頭部を上からひっばりあげられるような気持ちで、顎を軽く引き首の後ろを伸ばします。この時、百会(頭の天辺)を糸で吊り上げられている感覚でと言う気功師が多いのですが、それでは上下の気のバランスが崩れます。飽くまで骨格に沿って頸椎に隙間を空けるような感覚です。上虚下実にするには、この状態での立ち方を何度も試してみて下さい。手は自然に身体の両脇にたらし、握固します。站樁功になると両腕でさらに前にも気を回転させる練習をしますが、站立法ではまず立ち方のみを修行します。腹、腰、脚に力を入れて下部を安定させ、上半身は力をぬき、下半身の上台の上に上半身をそっとのせる感じにします。
 立ち方の要点は重心です。身体の重心は両足の親指のツケ根の中側に落とします。多くの人が踵の方に重心をおき、ことに中年以後になると脚が外側に曲がりますので、勢い両足の外側(小指側)に力がはいりますが、いずれも正しい立ち方ではありません。
 正しい立ち方をしていると電車に乗って立っている場合、速度が急変しても身体が倒れません。座り方でもそうですが、正しい姿勢をしていると身体だけでなく、心が安定し、丹田に気が落ちてきます。
 
 鶴立法
 片足で立つ方法を鶴立法といいます。片足でまっすぐに立ち、重心をその足の親指のツケ根のあたりに落とします。
 他方の脚は膝を曲げ、立っている方の足のふくらはぎの上あたりに引っかけるようにして、まったく力をぬきます。これは足が疲れた場合など交互にやって疲れを回復するのに応用するとよいでしょう。これは身体の安定を計るのによい方法です。身体や心のバランスが乱れていると長時間立っていられません。
 さらに高度の安定を得るには閉眼鶴立法というのを行ないます。これは鶴立法と同じ姿勢のまま、両眼を閉じる方法です。十秒以上ふらつかないでできたら、身体も心もバランスがとれ、きわめて健康的であると見てよいでしょう。最終的には一分以上できるようになりたいところです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?