座法・臥法4

臥法(寝方)
 人間だれでもが寝ますが、実生活に結びついている仙道では、この寝方についても仰臥法、横臥法、俯臥法の三つに分けて習いました。そして、この三法のうち仰臥法を寝方の基本としており、寝つきの悪い場合とか、食事の直後などやむを得ない場合のみ横臥または俯臥を用います。
 
仰臥法
 仰臥法とは普通に仰向けに寝る方法です。寝具はクッションのあるベッドや身体が埋まるような布団は良くありません。いわゆる煎餅布団か、できれば直に床に寝ることが望ましいです。
 柔らかい布団は身体をくつろがせるように思われますが、それは反対で、脊柱が弯曲し筋が引っばられるのでかえって身体を強張らせてしまいます。信じられない方は是非一度、風邪をひきにくい夏場にフカフカのベッドと煎餅布団一枚と寝比べてみて下さい。翌朝の関節の痛みが全く違い、身体が軽く感じるはずです。特に腰や膝に故障を持っている人は速やかに切り替える必要があります。このことは、横臥法、俯臥法についても同じです。枕は用いないか、バスタオルを丸めたものを使い、なるべく首の方にあてます。これは甲状腺を伸ばすためで、高い枕を頭の方にあてますと顎が引けて首がちぢむため、甲状腺を圧迫します。甲状腺を伸ばして寝ると、老化を防ぐことができるだけでなく、頸椎の横の動脈を止めないので、殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)の予防にもなります。
 
横臥法
 横臥法とは横向きに寝る方法ですが、この場合にも枕は肩先から顔の側面の高さ以上のものはいけません。首を伸ばして上を見るようにして寝ます。下になった方の脚はまっすぐに伸ばし、上になった方の脚は膝で軽く曲げて、下の脚の上にのせます。
 
俯臥法
 俯臥法とはうつぶせに寝る方法ですが、この場合、首を右に向けたら左の脚はまっすぐに伸ばし、右の脚を曲げて横向きに近い形にして、下腹が直接ふとんに密接しないようにします。左腕は身体の脇に伸ばしておき、右腕は横に伸ばして肘を曲げ、手のひらを床につけて額のあたりにおきます。
うつぶせに寝る場合は、腹部をふとんにつけないことが絶対必要です。睡眠中は腹式呼吸を行なうので、腹を圧迫すると呼吸が浅くなってしまいます。浅い呼吸での睡眠は質が落ちますし、悪夢を見たり健康にも悪影響を与えます。

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