突然「通関士でなくなる」日。通関士となってから、「あなた」が考えるべきこと(後編)
「元」通関士が今だからこそ伝えたい
「突然、通関士でなくなる日」
の後編となります。前編はこちらです。
「通関士試験合格チケット」は入社するキッカケ。その後のキャリアは自分で選択していくことが重要!!
私は「前編」の中で、
「通関士試験合格者」の最悪の結末として、
リストラ対象となってしまった「通関士試験合格者」である、通関士実務経験の乏しい40代過ぎの会社員
だと書きました。
この事が意味することは何か?
ここで、私が知っている「ダメ人間」を例に挙げてみましょう。
国際物流業者勤務歴13年。
入社当初は「通関士」として4年間従事していたが、その後は異動を繰り返し、通関以外の部署で従事することになった。
その後、その会社は吸収合併されてしまい、その人は新会社で新入社員並みの給料で働くこととなる。
その人は「通関士資格のみ」で、ここまでこれたのだが、社内の異動を受け入れる中で、今は通関士ではなくなっている。通関士として転職を考えるも、ブランクが余りにも長すぎる状態となっていた。
そう、この「ダメ人間」の正体は「私」です。
27歳で「通関士」になったはずなのに、40歳を迎えるころに「通関士歴は、たった4年しかなかった」と気づき、「いざ、通関士として転職」という状況で「ブランクが8年」になってしまっていることに気づく。
「会社員」として生きていくのか?
「通関士」として生きていくのか?
この問題に向き合うことなく、会社命令に従う中で「どっちつかず」となり、キャリア迷子となってしまう思考停止会社員の悲惨な末路。
「世の中に、こんなダメな人間いるの?」と笑って読んでいただいている読者様こそ「まとも」であると思っており、そうでなければ「あなた」も、同じ状況に陥る可能性があります。
「どっちつかず」があなたを苦しめるかも知れない。
令和となった現在は特に、「会社依存資格の危険な側面」を理解しておく必要があると、私は思っています。
①あなたは「会社員」として、生きていきますか?
そうであるならば、通関士試験合格チケットは「入社のキッカケ」として使い切り、その後は「国際物流」業界の立ち回りを習得しながら、給料アップの方法を模索していくべきです。
現在、通関士として従事していたとしても「通関士はさっさと諦めて」海外駐在や企画営業など「行きたい部署」を考えて、異動願の提出を検討してみて下さい。
さらには、メーカーや商社への転職や、貿易業者の独立開業も検討材料としながら行動を起こしていくことも必要です。
つまり、今の会社に「あなたが通関士として入社できた」ことで「通関士試験合格チケットは役割を終えた」と考えるべきだということです。
「国際物流会社員」として、人生の舵を切っていきましょう。
決して「『今いる会社内だけ通用する通関士』として会社員人生を全うしよう」などとは考えてはなりません。
②あなたは「通関士」として、生きていきますか?
そうであるならば、同業「通関業者」への積極的な転職も検討する必要があります。
世の中には
「他法令に精通している」
「輸出入の両方に精通している」
「海上航空両方に精通している」
通関士の方はたくさんいます。「あなた」は、その領域に到達していますか?
「通関士としての転職」は、給料アップは期待しづらい部分もありますが、それでも「死ぬまで現役通関士」として、仕事をすることが可能となってきます。
通関業者として、最も仕事の需要が多い
39類(プラスチック製品)、61類や62類(衣類)、84類や85類(機械類)の商品の申告書をサラっと作成できたところで、満足してはいけません。
(輸入通関士が例となってしまいますが)
「暫8」「11条加工修繕減税」「17条再輸出免税」
その他
「別送品」「外貨船用品(機用品)」「蔵入れ承認」「他所蔵置許可」「米軍380、381」「滅却承認」「保税運送承認」「ATAカルネ」等
を日常で、同時にガンガンこなしている通関士もいます。
要するに、
「もっと、視野を広く持ってください」
ということです。
「今の会社で与えられている通関をバリバリこなせるようになる」ことと「通関士として生きていくスキルを身に着ける」ことは別物
なのです。そして、この事を決して「勘違い」してはなりません。
今の会社において、あなたが
「突然の辞令で、通関士でなくなる日」
は必ず訪れると思ってください。それは、40歳や50歳以降かもしれません。そして、その時に「準備」が出来ていれば、あなたに迷いが生じることはありません。
自らの道を信じて、進んでいけることでしょう。
そして、その時に初めて「通関士試験を受けるために勉強した日々」も「通関士試験合格チケット」も、あなたにとっては、「有益なもの」であったと感じるに違いありません。
本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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