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kindle書評|GWに読んだ本を雑にまとめる

自粛期間中にkindleを手に入れた私に死角はなかった。

GW中、一旦仕事から離れようと思うと自然やることがゲームか筋トレか読書しか無くなったので、1日中読書にふけるという大学生ぶりの生活が送れるようになってきた。今まで読もうと思っても1ページで苦しくてやめるという体力不足に自己嫌悪していたので、これは嬉しい兆候。

前置きはどうでもよくて、GW中読んだ本の中からいくつか雑にまとめた。kindle unlimitedは10冊までしか保存できないので、読んですぐに手放すことが多く、読み返せない状態が多いので本当に雑になると思う。娯楽小説なんかも混じっている。

■シェリー・ケーガン『DEATH「死」とは何か

書店でずっと気になってたのにパートナーが私が読む前に売っ払ってしまったから根に持ってた。宗教や葬送に触れずにひたすら「死」について考察し続ける授業は結構珍しいと思う。東大で死生学や宗教学の授業を聴講した時も最高に面白くて自分の血肉になったが、死というものを論理的に、色んな場合分けをしながら再構築していく過程が面白い。

■細谷功『無理の構造ーーこの世の理不尽さを可視化する

視野の狭い人は見えているものを「全体」だと思っているので、自分の見えている範囲が「一部」だと分かっている人に「全体を見ろ」と言われても理解しないという図がわかりみが深すぎたし、どこかの分野で自分も絶対そうなってるんだろうなと反省した。チャンスの反意語はピンチではなく「何もしない」という図など、目から鱗が落ちていく。

■チャールズ・A・オライリー『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

これは社内有志でABD(アクティブブックダイアログ、詳細はリンク先note参照)をした時に読んだ。「探索」と「深化」を両どりで進めていく企業が成長する(≒生き残る)という主張を非常に多くの事例と論理で展開していく。私が読んだのは5章で、IBMとシスコの新規事業創出制度(探索)がガバナンスと資源マネジメントの2点がポイントで成否が分かれたという話だった。*これだけPDF

■山口周『外資系コンサルの知的生産術〜プロだけが知る「99の心得」〜

山口さんの本は『武器になる哲学』が最初でめちゃ面白いと思い、色々読み始めた。この本はどっちかというとkindleよりも紙の本として辞書的に手元に置いておきたい。相手の反応を予測してwhy-what-howなど論の組み立て方を考えるという部分はすぐに活かせそう。

■小林昌平『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

人生の色んな悩みを哲学者(や宗教家)の言葉を出しながらとにかく安心させてくれる本。色欲にまみれた坊主の話も出てきて笑った。

■佐々木裕子『21世紀を生き抜く3+1の力

尊敬する先輩の著書。リアルな海外経験の話もビビったが、2050年のために私はどんなことを今からできるのか考えるきっかけになった。佐々木さんのエネルギッシュな取り組みや経営のあり方っていったいどこからきてるんだろう。過去を少し知れてますます尊敬。

■ケン・リュウ『紙の動物園

最近どハマりしている中国SFというジャンル。折りたたみ北京、息吹なども読んでみた(三体は恥ずかしながら未読)けどこれも大好きになった。表題作は中国人の母が作る不思議な折り紙の動物の話だが、差別意識や故郷への思い、家族愛などが根底にあるので最後は涙。ネトフリのLove Death Robotにも映像化されていた「良い狩りを」は文章だけだがスチームパンクな雰囲気もある。SFというジャンルだが家族愛や人間、文明への愛が感じられてとにかく読み応えがある。好き。もっと読みたい。

■大木毅『独ソ戦

ドイツ史やWW2関連の歴史に興味があると言ったら大好きな取引先の人にお勧めされた。大量の史料からもう一度独ソ戦を振り返る本。ドイツ国内の生産性を上げるために侵略するという筋書きがスッと入ってきた。ヒトラーだけのせいにされていたものや美化されていたメッキが剥がれる一冊。

■筒井康隆『ロートレック荘事件』

パプリカ、妄想代理人、富豪刑事、時をかける少女などアニメ化と相性の良い作家という認識。原作小説の時かけしか読んでいなかったので、これを読んでみた。設定もあってしょっぱなから最後までめっちゃ婦女斯くあるべしな価値観が気になったが、伏線から最後の語りまで一気に読んでしまった。絶対こいつやろと思いながら読んでたが途中で混乱して、やっぱ最後そういうことか〜〜!ってなった。他も読みたい。

■大塚 已愛『ネガレアリテの悪魔 贋物たちの輪舞曲

THORESさんが好きだったのでこの機会に読んでみた。最近美術にも興味が再燃してきたので、贋作が己を恥じているという設定はすごく面白く読めた。すごい人外戦闘が繰り広げられるけど私は贋作をめぐる人間関係も好き。続編読みたい。

■ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか(下)

上巻はだいぶ前に一気読みしてたのが放置していたもの。東大で売れてますという帯にやられた。政治学×経済学の視点で書かれていて、上巻は古今東西を貫いて共通する繁栄と衰退の公式を考察している。とにかく事例が多くて具体的で勉強になる。今の日本はどの部分がどう捉えられるんだろう、と考えながら読むと思うところもあり面白い。下巻で心に残った箇所は、包括的制度において、しかもあの人気だったルーズベルト大統領が司法との三権分立を揺らがすような動きをとったこと。緊急事態下で違憲判断をかます最高裁のせいで強力に政策を押し進められないことを理由にしていたが、大統領の権限を強くしすぎることを懸念してその動きは反対阻止されたという部分。包括的制度であり続けることが長期の繁栄に共通するという主張が一貫している。


今まで電子書籍は食わず嫌いだったが、kindleはすごい。本屋が閉まってても買えるし、unlimitedがある。検索しないと面白い本に出会いにくいのとページを高速でバラバラして読み進められないのが難点だが、普通に読めるし紙より気負いがない。

まだ少しだけ休みが残っているので、あと何冊か読んでおきたい。ここまで読書に集中できた長期休暇は間違いなく今までで初めてだったので、仕事の状況は苦しいが良い休暇だった。

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