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卒論

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【要約】戦後70年間の東大卒女性の人生
―東京大学女子卒業生同窓会さつき会の発行物の分析から─

【要約】戦後70年間の東大卒女性の人生 ―東京大学女子卒業生同窓会さつき会の発行物の分析から─

女性が高学歴になることは「いいこと」なのか。言い換えると、女性は家から出てきて「よかった」のか。東大に女性が入ったことは「よかった」のか。

私がこれから東大卒女性として生きていくなら、この問いから逃げ続けられない。それを卒論で書いた。2018年のことだ。ありがたくも、その年の東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞することができた。

2019年、2020年と経ち、上野さんの祝辞、東大女子お

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【第3章】高学歴女性の「男並み化」の歴史

【第3章】高学歴女性の「男並み化」の歴史

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

第3章 高学歴女性の現状と展望3-1 高学歴女性の「男並み化」の歴史 本論では女性がいかにして高学歴を手にし、労働市場

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【第2章2-2-4】東大を志し、東大で志す

【第2章2-2-4】東大を志し、東大で志す

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

2-2-4 東大を志し、東大で志す女性の社会進出を促した業績

 さつき会メンバーを含む東大卒女性が成し遂げたガラスの

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【第2章2-2-2】東大卒女性のライフストーリー

【第2章2-2-2】東大卒女性のライフストーリー

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

2-2-2 東大卒女性のライフストーリー 東京大学が女子学生の受け入れ始めてから約70年が過ぎた。終戦後から現在までの

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【第2章2-2-1】東京大学と女子学生

【第2章2-2-1】東京大学と女子学生

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

2-2 東京大学女子学生史2-2-1 東京大学と女子学生 以下の記述は特に注記のない場合さつき会出版の『東大卒の女性—

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【第2章2-1】東京大学とさつき会と女子学生の70年間

【第2章2-1】東京大学とさつき会と女子学生の70年間

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

第2章 東京大学とさつき会と女子学生の70年間 第2章では高学歴女性の最も先鋭的な例として、東京大学を卒業した女性につ

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【第1章1-3】高学歴女性が労働市場で直面する課題

【第1章1-3】高学歴女性が労働市場で直面する課題

1-3 高学歴女性が労働市場で直面する課題 女性が家庭から次第に解放され、男性と同様に働き続けるという選択ができるようになるまでには戦後数十年間を要した。大学教育を受けた「高学歴」を持つ女性は知識技能的には同窓の男性に劣らないはずである。この大卒女性は卒業後、果たしてどのような労働環境に囲まれることになるのだろうか。

 日本労働研究機構では1996、1998年に大卒女性のキャリアパスを調査するプ

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【第1章1-2】女性と日本の労働市場

【第1章1-2】女性と日本の労働市場

1-2 女性と日本の労働市場 労働市場の世代効果として、学校を卒業する直前の労働市場の需給状況は、賃金や離職に関して長期的影響を与えることが、複数の研究により明らかになっている。(玄田 2010)就学時の労働市場の状況は本人の自助努力の及ばないところにあることを考えると、就職における社会的格差を考察する上で各世代の労働市場の背景を追うことは重要である。
 ここでは女性の就業を取り巻く法制度や経済・

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【第1章1-1】女性に開かれた高等教育【卒論】

【第1章1-1】女性に開かれた高等教育【卒論】

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

第1章 女性の高学歴化と戦後の日本社会1-1 女性に開かれた高等教育1-1-1 女性が高等教育に進出するまで 日本で女

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【序論】戦後70年間の東大卒女性の人生【卒論】

【序論】戦後70年間の東大卒女性の人生【卒論】

※本論文は2018年度東京大学文学部社会学研究室でクローネ賞を受賞した学部論文です。研究室ならびに指導教官からの許可を得て公開しています。

※加筆修正したい点もありますが、敢えて執筆〜提出当時(2018年1月5日)のまま掲載します。私人についてはイニシャル表記のままとします。

序論
0-1 問題関心 日本で無償労働を全面的に担い、市場経済や政治から排除されていた女性は長い時間をかけてその参入障

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卒論参考文献リスト

麻生誠, 1977, 「学歴エリートの虚像と実像」麻生誠・潮木守一編『学歴効用論』有斐閣, 65-84.
綾部恒雄, 1976, 「約縁集団(クラブ)の社会人類学—任意集団の系譜とその適応的性格」東京都立大学社会人類学会編『社会人類学年報』二号, 弘文堂, 13-39.
天田城介, 2004, 『老い衰えゆく自己の/と自由――高齢者ケアの社会学的実践論・当事者論』ハーベスト社.
石川経夫・出島敬久

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