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小さな山の中で家具職人をしている若者の話⑨嫌いな虫を好きになる-後編-

前の話↓

私がまだ片手で数えられる年齢だった頃、姉が沢山の蟻を捕まえてきては私に投げつけるという遊びをしていて号泣した記憶がある。

その頃は虫の中で蟻が最も怖かった。

どうして飛びもしないあんなに小さな生き物に、そんなに恐怖心を抱いていたのか今となっては分からない。


もっと小さかった時、母と外で遊んでいたら口の中にハエが飛び込んできて号泣した記憶もある。

ハエは苦かった。


小さい頃の記憶など大して無いのにこんなに虫のエピソードがあるなんて、と思う。


小学生にあがると、周りの子供たちと同じように虫かごを首から下げて草むらを走り回り、バッタやてんとう虫を捕まえていた記憶もある。

父とカブトムシだかクワガタを捕まえる為にストッキングにバナナを入れて木にセッティングしたこともある。

どっちもかからなかったけど。


だけど思春期と共に虫は苦手になって、ダンゴムシすらも触れなくなった。


自分で言うのも変だけど、虫を嫌いになった理由は "みんなが嫌いだったから" なんじゃないかとうっすら思ったりしている。


なので実は根本では虫を嫌っていなかったんじゃないかと、そんなことも思うんだけど。


毎日虫に出くわしていたら、1年ほどでそれまで苦手だった虫たちを受け入れるようになった。

今では愛しいなんて思うこともあるし、触ることもできる。


私が単に今の環境に順応しただけかもしれないけど。


毎日何かの虫がブンブン飛んでいて、時には私にぶつかってきて、その度に私は悲鳴をあげて大きなストレスを感じていた。

今でも突然耳元でブン!となると思わず声が出そうになる。

だけど、怖くない、怖くないって自分に言い聞かせた。虫は何も悪くない!って。

落ち着いてみたら意外と大丈夫。


木に止まっている蛾や、見たことない羽が綺麗な虫たち、その辺を歩いている蜘蛛や名前の知らない虫たち、案外愛おしいわと思った。

ちなみにアイコンの写真は工房で出会った蛾。
可愛い柄を着てる。


虫のエピソードはまだまだ尽きない。


続き↓

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