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希少な国産羊肉の中でも異彩を放つ特別な羊肉「南三陸産わかめ羊」

こんにちは。
世界中の羊肉を味わうために地球を一周してきた羊肉屋の行方(ナミカタ)です。

これまでに世界中のブランド羊肉を実際に現地で食べてきたからこそ、わかったことがあります。
それは日本産羊肉のレベルの高さです。(※生産者や月齢によって品質のバラツキはありますが。)

今回は、そんな国産羊肉の中でも一線を画す

南三陸さとうみファームさんのわかめ羊

について書いてみようと思います。


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発祥の地、宮城県南三陸町さとうみファーム。

さとうみファームさんは、東日本大震災で甚大な被害を受けた南三陸町歌津地区にあります。震災直後、神奈川県から南三陸町に来て支援活動を行っていた金藤(かねとう)さんが支援活動を続けるための収益事業として牧場を立ち上げたのが始まりです。

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↑猫にも惜しみない愛情を注ぐ金藤さん

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↑牧場のすぐ目の前は日本海

日本で羊を育てることの難しさ。

日本における羊肉の自給率はわずか1%です。つまり、日本で食べられている羊肉の99%は輸入羊肉ということになります。それだけ貴重な国産羊肉は通常の市場には出回らず、高級フレンチや極一部のジンギスカン店で消費されています。

国産羊肉の自給率が低い大きな理由の一つは、個体の大きさにあります。例えば、3年育てると400㎏~500kgの枝肉がとれる牛と比べ、仔羊の場合は20㎏~30㎏ほどの枝肉しか取れません。骨を抜いてしまうと可食部分はわずか10㎏~20㎏しか残りません。 繁殖能力に関しても、1年間に20頭を出産する豚とは違い、羊は1年間に平均1.5頭ほどしか出産しません。 さらに羊は、牛や豚などに比べて病気にも弱く肥育が難しい品種です。 当社でも30年以上羊の肥育を続けてきたので、羊を肥育する大変さや難しさは身に染みてわかります。

これらのことからわかるように、羊飼いは決して儲かる職業ではありません。 日本は国土面積が狭いため、同じ飼育面積があれば、牛、豚、鶏を育てたほうが儲かります。 つまり、収益性の低い羊飼いには、よほどの覚悟ないとなれません。 実際に日本各地の羊飼いの方たちと話をしましたが、 みなさん羊に対する圧倒的な愛情、情熱、そして頑なな生産ポリシーを持っている方ばかりでした。


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希少な国産羊肉の中でも異彩を放つ「わかめ羊」

今や世界ブランドの和牛を生み出した日本。その高い肥育技術を活かし育てられる国産羊肉は、美食家達から高い評価を得ています。 そんな国産羊肉の中でも希少価値が高く、美食家達をはじめ、全国の料理人の垂涎の的となっているのが「わかめ羊」です。 2019年4月には食彩の王国でも取り上げられ、なお一層人気が高まっています。 そんなわかめ羊の美味しさの秘密は餌にあります。


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まさに、日本のプレサレ。

羊肉好きな方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。プレサレとは、食文化の発達したフランスが世界に誇る、ノルマンディー地方のブランドラムのことです。

実は、羊肉の味や肉質は、血統や畜種の違いよりも食べる餌によって大きく変わってきます。それを証明する代表的な例が、前述したフランスの「アニョー・ド・プレサレ」です。プレサレはEUで最も認定基準の厳しい原産地呼称制度であるPDOを取得しており、その知名度はEUのみならず世界的にも有名です(世界で一番有名なブランド羊肉といっても過言ではないでしょう) 。このプレサレは、塩の満ち引きの差がとても大きい低湿地帯で、海のミネラルを豊富に含んだ好塩性の植物を食べて育ちます。そのため、肉中の食塩相当量や必須ミネラルのヨウ素含有量が増え、上品な香りで旨味のあるお肉になるのです。

そのプレサレと同様に、海のミネラル分と塩分をたっぷり含んだ餌を食べて育つのが「わかめ羊」です。 その名前の通り、わかめの茎の部分を食べて育ちます。そのままだと消化できないので、宮城大学の協力を得て、わかめ茎の発酵飼料を完成させました。発酵させることによりうまれた乳酸菌に加え、わかめの茎に含まれる食物繊維やミネラル分により、優れた肉質に仕上がります。

私は実際にフランスのノルマンディー地方に行き、プレサレを実食してきましたが、わかめ羊はプレサレにも勝るとも劣らない肉質です。


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↑フランスで実際に撮影した「アニョー・ド・プレサレ」

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↑飼料となるわかめの茎部分

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↑わかめの茎部分を牧草と混ぜて発酵させる


科学的に証明されたわかめ羊の実力。

海のミネラルを豊富に含んだ餌を食べることにより肉質が向上することはプレサレが証明しています(その他にもオーストラリアのソルトブッシュラムなどが有名です)。さらに、わかめの茎は食べることによって体臭を軽減させる効果があります。それは羊にも効果があり、羊の嫌な臭いを軽減させることで羊肉の旨味を引き出すと考えられています。つまり、理論上は美味しい羊肉になるのです。そこで、さとうみファームさんは科学的に美味しさを証明するため、人間の味覚を再現できる味覚センサーを使った分析依頼をされたそうです。下記のグラフをみると、わかめのミネラルが羊肉の旨み、コクを引き出していることがわかります。(分析:株式会社味香り戦略研究所)


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出荷頭数が少ないため数量限定です。

わかめ羊の美味しさはメディアでも取り上げられ、全国の料理人から問い合わせが殺到しているとのこと。 もともと飼育頭数が少ないため新しい取引先はお断りしているそうです。そんな希少なわかめ羊ですが、さとうみファームさんのご厚意で定期的なお取引をさせて頂いております。入荷の際はなみかた羊肉店のメールマガジンにてお知らせいたします。

不定期ですが、大体1~2カ月に1頭ずつくらい入荷する予定です。

ここで売ってます。




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