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ある日の日記

仕事にゆく。このところ体調が悪く、仕事を休んで寝たきりになってしまう日もあったが、日照時間の延びとともに調子が戻ってきている。仕事にコンスタントに行けることは実に貴重なことだ、と体調を崩したとき、いつも思う。

年度末なので部署がソワソワとしている。私も事務仕事を淡々とこなしながら、どこか落ち着かない空気を共有する。

退勤してから、美術館に寄る。展覧会の会期がもうじき終わるので、駆け込みで鑑賞する。アーティストの作品と作風の変遷は充分知っていたつもりだったが、晩年の作品の明るさを初めて知る。よく、アーティストが死ぬ間際になってやたら明るい色彩を使うようになったり、ものすごくパワフルな描線になったりすることがあるが、表現されたものを通して、人間の生の力強さを思い知らされる。

美術館を出てから、仕事終わりの友達と待ち合わせて、お茶を飲んだ。段々と咲きほころんできた桜に時々意識を持っていかれつつ、近況報告や情報交換をする。友達とはいつも話が尽きない。あっという間に時間が経ってしまう。また会おうね、と言って別れる。
春とはいえ夜の空気はまだ冷たく、小一時間、外で話し込んだ後は足先がすっかり冷え切っていた。それでも、花冷えの折に時折鼻水をずるずるさせながら語った仕事の話や、春に浮かれ騒ぐ通行人たちの景色を、忘れたくないと思った。

そんなわけで、なんだか久々に良い一日だった。と思ったら、起きていたのに帰りの電車で乗り過ごしてしまった。
最寄駅では、千鳥足のサラリーマンや、花束を持った人がちらほらと居て、みんな見送ったり、見送られたりしたんだろうなあと年度末の空気を一層感じる。
来年度もがんばろうっ。


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