Book Cover Challenge day6
こんにちは。
Book Cover Challenge 6冊目の紹介です。
「世界のすべての朝は」パスカル・キニャール 高橋啓(訳)
2017年に熊本の出版社伽鹿舎さんが出した特装本。
装丁の美しさと、手に持った時の馴染み方。
それがこの小説の筆致の静謐さとしっくりくる。
テレビもネットも音楽も全部消して、本の中に流れる音楽に耳を澄ましたいような本。
小説の他に、小さな冊子の解説付き(この冊子も挿絵も含めとても素敵)
訳者の方のあとがきに
「(略)この作品の翻訳に込めた思いを、あの激震の犠牲になった人々、そしてそこから奇跡的に立ち直ろうとしている熊本のみなさんに捧げたい」
とあった。
こういう美しい本は、作るだけで赤字だったりするんだと思う。
でも、熊本地震で大変だった直後にこういう美しい本を出した出版社さんに思いを馳せると、生きるということへの本質を問われているような気もします。
何年か前に鳴子の全国こけし祭りに遊びに行った時、目にしたポスターに
「美しいものをあきらめてはならない」
と書いてあって、ふとした瞬間に思い出すことが多いんですけど。
作品でもなんでも、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるし、安く作って儲けようみたいなこともいくらでも出来るし、特に非常時にはそうなると思うんです。
でも、非常時で心がささくれそうになる時だからこそ、きちんと美しい作品を作ること。
それをあきらめてはいけないなって。
自分で何かを作る人じゃない人は、美しいものに触れるってこともいいのかなぁと思います。
ということで、わたしの本棚の中でも抜群に美しい本の紹介でした。
では、また明日!
明日がラストですね。
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