見出し画像

見えない仕事

亡くなった祖母は昔、大きい銀行のビルの清掃をしていた。
行員が泣きながらトイレに入ってきて、
「おばちゃん聞いて」って話していくこともあったらしい。

そんな話を聞いていたからか、わたしはビルの清掃をしている人に自然と目が入ってしまう。
なぜか大きなビルに勤めることが多かったので(今のバイト先もそうだ)トイレはいつも清潔だった。
その清潔を見えないところで維持しているのは、清掃の方達だ。
当たり前だと思っているものの背後には必ず見えない仕事がある。

休憩時間になるとわたしは、大きく指紋すらついてなさそうなドアを開けて、水飛沫のついていない洗面台で手を洗い、綺麗な玄関マットを踏んで、カフェのある隣のビルに入る。
カフェからは丸の内仲通りが眼下に入る。イルミネーションや歩行者天国になり、ウエディングフォトで人気の通りだ。
ここにもほうきとちりとりを持って歩く人がいる。

一時期、”見えない家事”という言葉をよく聞いた。
トイレットペーパーが無くなった時の補充、洗剤の補充、ゴミ袋を設置すること、意識しなければ気づかない家事。
家庭の中だけでなく、それは職場や街に出ても同じだ。
意識しなければ気づかない仕事をしている人たちがいてこその快適さだ。

晩年、祖母が入院している時、点滴ポールを持ちながらトイレに行くというのでついて行った事がある。手を洗う祖母に付き添っていたが、手を洗った後、血液が逆流する点滴チューブのついた腕で丁寧に洗面台を紙ナプキンで拭いているのをみて、(そこまでしなくてもいいのに)という気持ちと(あぁ、やっぱり目に見えない仕事をしてきた人だなぁ、すごいなぁ)という感嘆の気持ちが入り混ざったのを覚えている。

自分が見たい景色だけ見るのも良いけれど、その景色を維持するために働いている人がいることやその存在を軽視しないようにしたい。

なんか最近、改めてそう思う。


みなさま、こんにちは!

今日は文体がちょっといつもと違いましたけども!
そういう日もあるってことで!
ここからはマガジンコーナーです。文体、戻します!

昨日、Twitterのトレンドに不穏なものが上がりました。
「死因ミンユンギ」というトレンドで、初見で(え?ユンギさんどうかした??)って心臓が跳ね上がったのです。

ちょっと今日のマガジンではそのことについて語りたいな、と思います。
では、レッツゴ!←Pboy風に(伝わる人にしか伝わらんな)

ここから先は

1,305字 / 1画像

2022年は、いつものエッセイの後半に徒然コーナー(時々やってる赤裸々コーナー)を常設してお送りすることにしました。月3〜4回更新です。 …

サポート頂けるととても嬉しいです🐶 サポート代は次の本を作るための制作費等に充てさせていただきます