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往診キロク

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毎日の往診キロク。 おばあちゃん達の話しを皆様にお裾分け。
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戦後のおやつから食糧危機を考える

戦後のおやつから食糧危機を考える

この前の往診では衝撃的な昔のおやつを聞いたのだった。

その方は炭小屋の近くに住んでいて
炭小屋へよく遊びに行ってきた。

炭を作るために木を割って それを焚べて炭にするのだが その中に幼虫が住んでいて
頭が黒くて カブトムシの幼虫のようなものが出てくる。
それを 火を焚いている側においておくと
ズーンと伸びて大きくなり 食べるとカリカリで脂っこい。すごく、美味しいらしい。

「中はどうなってるん

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石けんの木

石けんの木

鍼灸の往診にでて13年。
たまにおばあちゃん達の話しででてくるのが
石けんの木だ。
戦争の頃は石けんや洗剤がなく
石けんのような葉っぱで代用していたと言うことだ。
それは、神社などに生えていて 水でもむと
石けんのように泡が立つらしい。

その話を聞いたのは7.8年前だったと思う。
どんな、木なんだろうといつも思いを馳せていた。
私も見てみたいと!

そんなことを忘れていたある日の往診で
昔の話を

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鍼灸師の月曜日

鍼灸師の月曜日

今日も今日とて往診に。
日曜日が終わって 次女を保育園に送り出し
いつもの日常に戻る。
月曜日は母方の祖母の往診の日だ。

かれこれ、10年にはなるだろうか。
紆余曲折あり、最近のルンティーンは
朝いって、お茶を一緒にのみ
お散歩をして
施術。
そのあと、叔母が作っていくお昼ご飯を温め、
祖母と一緒に食べる。
片付けをして 次の往診先に向かう。

この仕事の良いところは仕事をしつつ
祖母のケアが出

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戦後のおやつと隔物灸

戦後のおやつと隔物灸

往診をしていると、必ずといっていいほど
昔の食べ物の話になる。

例えば、春には油は菜種を育てて 油屋さんに作ってもらったり、
秋には大豆を醤油や味噌を麹屋さんに頼んで作ってもらう。
塩は塩釜で作った塩だったろうし
砂糖も精製されてない茶色い砂糖だっただろう。
今の調味料とは味が違う。
食べ慣れた調味料が恋しいと言う方も少なくない。
昔は全て本物しかないから、きっと美味しかったんだろうなと思うと、

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往診キロク①

往診キロク①

このお話はお客様の許可をとって書いていますが
身バレ防止のため 少し脚色や偽名を使っています。

私とあきこさん(偽名)が出会ったのは
丁度、コロナが出始めた頃だった。
もうかれこれ、6年目になるだろうか。

前任の往診の方が コロナの恐怖で家から出れなくなり 往診を辞めてしまったのだ。
そのまま 体調を崩してしまったらしい。

その後釜に 私をというご相談を受けた。
施術の最後にむくみ改善用に弾

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