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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 488

 ジンがそう語って、指を鳴らすと水槽から金魚が消えて、黒いタコだけが残った。

「上位世界だからこそ、暗黒種の情報を僕は取得することが出来た。この情報を現世に、早くもって帰れたらと……なんども、思っただろう」

 水槽を手に持ち、中を見下ろしているジンは言う。

「暗黒種は種神が生み出した種族ではない。外側の次元からやって来た種族さ。まぁ、視界に入った時点でSAN値を削るフォルムだから、クトゥルフと名付けたのは、デオンたちなのだろうけど」

 翠色の瞳を細めて、ジンは自分の額に水槽を押し付ける。

「暗黒種は暗黒種で、進化の過程で行き詰った生物さ。単独で次元を超えて、どんな環境にも適応し、寿命以外で死ぬことがない――最強の生物。が、それが種としての限界になってしまった。彼らは彼らの望む行き詰りを解消するために、種神に促されるままこの世界に来た」
「その行き詰りは解消されたのか?」
「半分答えが出て、半分答えが出ていない」
「もしかして、殿下のことか?」
「そうともいえるが、結局自然の生殖ではない。……まぁ、もしかしたら、あの姫の手を直接借りればかもしれないけど」

 


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