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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 499

 第二世界に新たな秩序されるも、人々はそれを忘却していた。
 世界を生み直した少女は、友人のシスターに甘えるようにもたれかかり、走るバスの屋上からイルカの群れを鑑賞する。

「すごいですねー。飛び跳ねると水が飛び散ってキラキラして、泳ぐことに最適化したフォルムも見事です」
「…………」

 興奮するカーラに対して、ティアは無言で体を摺り寄せる。

「……? ティア様、どうしましたか?」
「ねぇ、カーラ。わたし、幸せになれるかな?」
「あー、もしかして、五年ぶりの里帰りですから、心配になっちやいました?」
「まぁ、そんなところかな」

 ティアに都合よく改変されて、ハッピーエンドが約束された世界だというのに、彼女の表情は暗く沈んでいる。
 彼女だってバカではないのだ、あったことを無かったことに出来ない。

「…………」

 この世界に、人類はいない。
 デーロスは魔族が支配する――【魔界】となり、本能的に人類がいるとされる、人間界へ進行するようにプログラミングされている。
 改変前の世界で、人間の影響と依存度が強かったゆえの、ティアではどうしようもできない業(カルマ)。

 それがどうか、破滅を招かないことを祈る。

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