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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 433

「させない!」

 そこへ躍り出たのは魔導姫アステリアだ。
 彼女は蜂巣模様の魔力障壁を張って、血色の光球と正面から対峙した。
魔法障壁と光球がぶつかり合い、激しい爆発音と熱風が巻き上がる。
 追い打ちをかけるように、異次元の向こう側から魔王の砲台が火を噴き、ビームが放射されて、圧倒的な熱量がティアたちの肌に鳥肌を立てた。

「ごめん、アスティ。やっぱり、500年もまともに動かしてないから、反応が遅いや」
「いえ、それは貴女もでしょう。アレイシア、無理はしないで」

 勇者を慰める魔導姫の緑の瞳は、輝きを取り戻していた。

「やるの?」

 問いかけるアステリアに、勇者は白い歯を見せて笑う。
 自分たちに見せた嘲笑ではなく、心の底から相手を思いやる自然な笑顔だ。

「うん、やろう。もう、未練もなくなった」

 お互いに頷き合う姿は美しく、どこか不吉さを孕んでいる。

「わたしとあたし、望むモノは結局一緒よ。だけどもう、手遅れなのね」

 ティアは静かに言った。

「今更、なにをいっているのよ? いいんじゃない、自分vs自分」
「……それだけじゃない、このままだとわたしたちは滅ぶ。みなが助かるには、あなたたちが言っていた新天地に賭けるしかない」

 ティアの言葉に、アレイシアの顔から表情が失せた。

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