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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 351

「「喰らえ、魔導姫」」

 スキを突く形で、二人は二つの魔導を同時に発動させる。

【傀儡神の糸(アリアドネの糸)!】

 ゼロは叫んだ。

【名無しの名(ネームレス)!】

 ファウストも声を張り上げた。

 魔導姫の舞踏が止まる。
 自分に繋がるナノマシーンの同調がいきなり停止し、複数体からの生体ネットワークも途切れてしまった。唖然とした顔を作ったのも刹那だった。

「次は、お前が操られる番だ」

 ゼロが叫ぶと同時に、アステリアの身体に透明な糸が無数に繋がり、得体のしれない強大なものに、自身が取り込まれた感覚に襲われた。
 自分の全身から、大切な物がごっそりとこそげ落ちて空っぽになり、虚脱感が全身を支配しようとした瞬間、流れが完全に変わったマナが四散する。

「な、なにが、起こった」

 初めてアステリアの顔に焦りが浮かんだ。同調していたはずのナノマシーンが反応しない。ストックしている複数体へのネットワークの再開を試みても、信号がまるで送れていないのだ。まるで、アステリアの存在そのものを認識できないみたいに。自分に繋がった大きな存在が、まるで壁のように阻んで魔導姫をただの亡霊へと無効化させていく。

「そ、そんな、バカな」

 彼女はかつて、ノルンの三翼でによってユリウスの過去を覗いたが、【傀儡神の糸(アリアドネの糸)】を、存在自体を拘束する形で応用してくるとは考えられなかった。

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