書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 82

「まぁっ、外部との連絡が取れたのですか」

 カーラがびっくりとした顔をしてプルートスを睨むと、プルートスの方も自身の激情を落ち着かせるように息を吐く。

「あくまで緊急用なんです。こいつが死んだら、各方面で活動している【ナンバーズ】が全滅する。今、この国でなにが起きているのか、瞬時にわかるのは、こいつのネットワークと分身である【ナンバーズ】がいるからなんですよ」
「……そういえば、ファウスト殿はペルセの襲撃を【目】で観たとおっしゃっていましたね」

 ティアは思い出したように言う。そう、疑問に思っていたのだ。寄生した動物を媒介にした魔菌糸のネットワークだとするなら、動物の眼だと正確な情報なんてわからない。 自分たちとは見え方があまりにも違う生物、つまり夜行性の動物の視覚をかりて、情報を収集するにしても無理が出てくる。

 今のティアは、夜族の血に目覚めたことで夜の暗闇がとても明るく見えて、月と星が奏でる音色と、自身の五感がさらに鋭くなった。だからこそ疑問に気づけた。

 おそらく機密と情報漏洩を防ぐために、ナンバーズという存在がふせられたいたのだろうが、プルートスのファウストを気遣う態度からいやな予感がしてならない。

「ファウスト殿、ペルセにはあなたのナンバーズがいて、その【目】を借りて襲撃されているのを知ったのですか?」
「……はい、そうです。前回のテロを警戒して、各所に自分の分身を配置しました」

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