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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 482

「それは、種神に許された500通りの結末だろう」

 アステリアが低い声で言った。

「アタシたちは運命の袋小路に入り込んでしまった。救いがないのなら、好き勝手に暴れても良いでしょう?」

 アレイシアは自分の声がファウストに聞こえていることを確信し、見えない糸で微かに繋がっているような自分の半身が、ファウストに対して抱いているどろりとした感情にうすら寒いものを感じる。みたくもない自分の汚い部分を目の当たりにして、アレイシアの中にすさんだ気持ちが湧くのを覚えたが。

「アレイシア……」
「――っ」

 愛する人の気持ちを察して、手を繋ぎ、冷たく強張って手が温められる。それだけで、暗く淀んだ気持ちに光が差すのだから、人間の心というものは単純すぎて恐ろしい。

「アスティ、ありがとう」

 アレイシアの手をしっかりと握り返し、困ったように眉を八の字に下げて頬の筋肉を弛ませた。

「…………」

 魔王マキーナは無言だが、ティアたちの話を邪魔しないようにしているようで、成り行きを見守っているようだ。

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